お盆飾りについては、家庭や地域によって実にさまざまな飾り方があり、どれが正しいかというやりかたは存在しないようです。
私の地域では、水の子やきゅうりの精霊馬といったものが出ず、こういった風習がある地域を初めて知った時は驚きました。
お盆飾りには宗派別でも違いがあるようで、気になったので今回調べてまとめてみました。
なお、一般的なお盆飾りの飾り方と、盆棚についてはこちらの記事で紹介しています。
⇒お盆飾りの飾り方!いつから飾る?時期と飾りの意味について!
お盆飾りのそれぞれの意味や飾っておく期間、飾る盆花についてなど、基本的なことを紹介していますのでぜひチェックしておいてくださいね。(^^)
では、宗派別のお盆飾りの飾り方を紹介していきます。
記事内容(項目をクリックすると飛べます)
浄土宗
まず浄土宗の場合です。準備するものを確認しましょう。
<用意するもの>
- 精霊棚(盆棚)…小机でよい
- マコモのござ
- 盆花(故人の好きな花、ミソハギなど)
- 季節の野菜、果物
- お菓子、故人の好物
- 水の子
- きゅうりの馬、ナスの牛(精霊馬)
- 盆提灯
- 蓮の葉(なければ里芋の葉)
- 迎え火と送り火、折った苧殻を井ゲタに積んだもの(火を焚けない環境なら不要)
精霊棚や水の子、マコモや盆提灯などの意味はこの記事の出だしで紹介したリンク先で詳しく紹介しています。
水の子や精霊馬は、地方によって供えないところもあります。(東北では精霊馬を見ません…)
浄土宗については、以下のページが参考になると思いますので、一度ご覧になってみてください。
※お花は、トゲがあるもの、毒があるもの、ツルがあるものは避けましょう。
<浄土宗の飾り方>
仏壇の前に小机を置き、その上にお膳と蓮の葉に盛った季節の野菜・果物を供えます。
夏に旬を迎える食べ物は、トウモロコシやかぼちゃ、ナス、スイカ、桃などがあります。
画像にはありませんが、祖先が帰ってくる目印にするため、できれば盆提灯を精霊棚の左右に置きます。
通常は絵柄のついたカラフルな提灯を使いますが、新盆にのみ白い提灯を使います。
ロウソクやお線香、燭台は普段の仏前にお供えしている感じで大丈夫です。
【御膳の例】
リンク先は、先にご案内したサイトと同じです。
白玉、ささげ(豆類)の黒胡麻和え、大豆と昆布の煮物、きゅうり、麩と三つ葉のすまし汁(引用:http://d.hatena.ne.jp/htym67)
御膳は、宗派の他にも地方によって変わることがあります。
これらの他にも、白米やきんぴらごぼう、ひじきや煮豆、きゅうりやナスの浅漬けといったものを供えることもあります。
また、お盆での霊供膳には、肉や魚などの生臭いものを供えるのは控えましょう。
曹洞宗
つぎに曹洞宗について紹介します。
<用意するもの>
こも
「こも」とは、「真菰(まこも)」という、稲の一種を編んで作った敷物で、 お盆中お供え物の下に敷きます。
迎え火/送り火用の薪
お盆の時期、スーパーなどで売られます。
精霊馬(しょうりょううま)
亡くなった方が、浄土(天国)との行き帰りに使う乗り物が精霊馬です。
盆提灯
2つを対で飾ることが多いですが、1つでも構いません。
引用:http://www.endouji.com/omairi/obon.html(リンク先:円道寺)
おがらですが、松明タイプのものと藁を使うご家庭があるそうです。
(共同住宅の場合は火をたくのが難しいので、なくてもいいそうです。)
また引用からはずれてしまいますので箇条書きの中には明記していませんが、メロン・スイカなどの果物(野菜)やそうめん、お菓子といったお供え物も準備しましょう。
お供え物を置くための小机も用意します。
<曹洞宗の飾り方>
同じページから、A~Fまでについて引用します。
A 仏壇の中
仏壇の中の本尊さま(中央)、両祖さま(左右)には、通常と同じように、お水・ごはん等をお供えします。
B 位牌
通常、位牌は仏壇内にお奉りしてありますが、お盆の時だけは正面に出します。
C 提灯
提灯が2つあり、仏壇の左右両方にスペースがある場合は、 対になるように置きます。1つの場合は、どちらか片側一方に置きます。
D お供え物
果物や野菜、そうめん(乾麺のまま)、お菓子などもお供えします。
E 精霊馬(しょうりょううま)
ナスとキュウリで作った精霊馬を飾ります。
F お食事(お供え)
机の上に「こも」を敷き、その上に薄い木の敷きものを置きます。敷きものが大きい場合は、その上に一膳分の食事を置きます。小さい場合は、板1枚にお皿1枚を置きましょう。
位牌は仏壇に引き出し式の棚があれば、その上に位牌を置き、棚がなければ仏壇内の一番前に置きます。
あるいは、盆棚の上に並べても大丈夫だそうです。
【お食事について】
お食事の数は、お盆に帰ってくる故人の数、またはお連れがある場合を考えて+1人前にします。
ただ人数が多くなりそうなら、盆棚に並べられる無理のない数で大丈夫です。
お食事はすべて素焼きの小皿(かわらけ)に盛り、箸は迎え火や送り火で使うおがらを折って作ります。
お盆期間中は朝、昼、晩のほか、午前・午後のおやつを用意します。
出すお食事の内容は、故人が帰省していると考え、生前食べていたものと同じものを出すと良いでしょう。
喜んでくれそうなものを出すといいですね。
ただ動物性の食品はNGなので、特にさっぱりとした和食が作りやすいかと思います。
<お食事の例>
- 白米ごはん
- 味噌汁 「にぼし」などの動物性のダシは使いません。
- 煮物 ダシは椎茸か昆布で取ります。
- ほうれん草とにんじんの白和え
- 青菜のおひたし
- そうめん
- ナスのしぎ焼き
- 瓜(うり)の漬け物
- お吸い物
- すいか
- 水ようかん
- だんご
引用:http://www.endouji.com/omairi/obon.html(リンク先:円道寺)
おやつを出すなら、水まんじゅうとかでも良いです。
お盆時期は夏真っ盛りで暑いので、涼しくなりそうなものがいいかも。(笑)
※動物性の食品=肉や魚のほか、動物性の油も使いません。煮干しやカツオの出汁などもNG。植物油はOKです。
※にんにく、ネギ、玉ねぎなどニオイのキツいものはNGです。ただしょうがはOK。
日蓮宗
続いて日蓮宗のお盆飾りの飾り方を紹介します。
<用意するもの>
- お曼荼羅
- 日蓮大聖人像
- お位牌
- お茶
- ご飯
- 供物
- 水の実
- 灑水盤(水を入れる)
- キュウリの馬
- ナスの牛
- 花
- 香炉
- 灯明
- お鈴(りん)
- マコモ
- 青竹
- ホオズキ
図がリンク先の寺院のほうにございます。
仏壇を閉めた時に、位牌だけではなく、必ず御本尊をお出しすることを忘れないで下さい。
調べた所、どうやら日蓮宗には決まりきった飾り方がないようで、地域にあった飾り方をするのがよいようです。
家族や親戚、ご近所さんなどに聞くのが一番わかり易いみたいですね。
参考になりそうなURLを載せておきます。
※肉や魚、ニオイの強いにんにくなどの野菜を避けます。
※お供えする野菜、果物は故人が好きだったもの、旬のものが良いです。
※お膳を出すこともあり、曹洞宗と同じように三食出すみたいです。
浄土真宗
浄土真宗ではお盆に提灯やお供え、迎え火や送り火といった行事を行うことはありません。
仏教にはもともと、先祖の霊があの世から帰ってくるという考え方がないからです。
とくに浄土真宗では、祖先は浄土で仏様となっており、お盆だからといって特別霊となって帰ってくるようなことはない、と考えるようです。
(※調べてみると、どうやら仏さまは人間の苦しみを救うためにこの世に訪れることはあるようなのですが、あの世では人間世界のカレンダーやお盆だからといって、都合が決まるわけではないようですね。)
しかし、どうしてもお盆飾りがしたいと思われるなら、絶対にやってはいけないわけではありません。
お膳は必要がなく、法事の時と同じ飾り方で大丈夫です。
よろしければ、以下の記事で一般的なお盆飾りについて書いているので、興味がありましたらご覧ください。
⇒お盆飾りの飾り方!いつから飾る?時期と飾りの意味について!
宗派別のお盆飾りの飾り方まとめ
お供えするものは似通っていますが、形式が地域によっても変わってくるので、親戚や家族などに確認することをまずはおすすめします。
どうしてもわからない場合は、お寺に聞いてみるのもいいかもしれません。
故人が好きだったものをお供えするのはいいのですが、お肉やお魚といった動物性の食べ物をお供えに使わないことは共通しているので、お膳を作るときは気をつけましょう。
当ブログでは、お盆に関する記事を他にもまとめています。
⇒2016年のお盆休みの期間を、公務員や郵便局など、個別でまとめています