お盆のお供え物をいつまで捧げていればいいか、迷ったことはありませんか?
お盆の始まりは一般的に8月13日とされていますが、お供えしたあとの食べ物をどうしたらいいか、気になりますよね。
また、お供えされるお砂糖の菓子も、どうしたらいいか知りたいところです。
他にもこの記事ではお花の種類やお供え物の例なども紹介していきますので、ぜひご覧になってくださいね。
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お盆でのお供え物の時期や送る期間は?
お盆では仏壇の前に果物やそうめんなど、様々な料理をお供えしますが、これをお供えする期間は、お盆が始まる8月13日から15日とされています。
7月15日を基準にしている地域であれば、7月13日から、旧盆を基準にしているところは盆の入りにお供え物をしましょう。
お供え物は祖霊や故人のためにあるので、送り火をして祖霊があの世に帰ったあとには下げて大丈夫です。
生ものや水など、時間がたったあとや、一日で悪くなってしまうものは、その都度取り替えます。
- お盆のお供え物の期間は8月13日~15日(7月13日~7月15日、旧盆は初日)
- 送り火をして、祖霊を見送ったらお供え物は下げて大丈夫。
- 手作りの惣菜など、生ものは悪くなる前にその都度取り替える
配送でお供え物を送るとき
配送の場合、だいたいお盆に入る2~3日くらい前に届けるのが適切です。
8月13日からお盆が始まる地域であれば、8月10日くらいに届けるようにしましょう。
早すぎると相手を困らせることになります。
とくに生花やフルーツといったものは、あまり早めに届くとお盆になる前に悪くなってしまいます。
時期に注意して送るようにしましょう。
- お盆の2~3日前に届けるのがよい
- とくに生花やフルーツなど、鮮度が大切になるものはあまり早めに送らないよう注意
お盆の砂糖菓子について
お盆の時、噛むとジャリっとしているピンクや白といった砂糖菓子をお供えした経験は、誰にでもあると思います。
これは名前を「落雁(らくがん)」といい、お米などから抽出したデンプンに砂糖、水飴を加えて着色し、乾燥させて作られています。
落雁を供える意味や由来は?
もともとお盆で砂糖菓子である落雁が備えられるようになったのは、盂蘭盆会(うらぼんえ)と呼ばれる、目連尊者が行った施餓鬼という供養が由来します。
目連尊者の母は、我が子かわいさから餓鬼道に堕ちました。
餓鬼道とは飢えや乾きに苦しむ場所で、目連尊者がそこから自分の母親を救うためには、僧侶たちにたくさんの食べ物を振る舞うことが、唯一の方法と知りました。
こうして行われたのが施餓鬼と呼ばれ、振る舞うものはとくに甘いものが良かったそうで、この時の影響から現在でも落雁がお仏壇に供えられるようになったそうです。
落雁には蓮の花を模したものが多いですが、これは蓮の花が極楽浄土の象徴的な花であることから、お供えに適していることが理由です。
落雁は食べたほうが良いのか?
お供えしたあとの落雁は、もうすでに祖霊が召し上がったあとなので、好きに食べて良いと言われます。
仏壇にお供えしたものには、ご先祖様のご利益が宿っているので、縁起が非常によいとされます。
しかし仏壇に使われる落雁は、お茶菓子として出されるものとくらべ、あまり味が好まれないため、持て余す人もたくさんいるようです。
落雁は原料がデンプンや水飴、砂糖なので、ほとんど調味料のお砂糖として利用することが出来ます。
料理に使う砂糖代わりなら、すき焼きや肉じゃがなどの煮物がとくに使いやすいでしょう。
しかし着色料も入っているため、どうしても使いたくないと思う場合は、白い紙に包んで、感謝の気持ちとともに処分するのも手段です。
お盆でののし紙について
お盆ではお供え物を準備しますが、この時、むき出しであると失礼に当たります。
お供え物にはきちんと掛紙(かけがみ)をかけて、品物をお供えしましょう。
現在では機械で印刷した掛紙を使うのが一般的となっていますが、昔は品物を紙で包んでから、こよりで結び、贈る習慣がありました。
だんだんとこの形式が変化していき、現在使われている掛紙に残っています。
慶事(祝い事)用ではのしの印刷されたものを使いますが、お盆は弔事なので、のしの印刷されていない「掛紙」を使うのが正しいやり方です。
※家のしきたりや地域によっては、それぞれの決まりがある可能性があるので、気になるときは先に確認しておきましょう。
のしは「熨斗鮑(のしあわび)」の略で、昔は儀礼用の肴(さかな)に使われ、祝儀の贈り物に添えられる風習となりました。
これが変化して現在ののしの形となったとされています。
なのでどちらかというと弔事であるお盆にはのしは必要ありません。
また、誰が供えてくれたかわかるように、できれば内のしよりも外のしを選ぶようにしましょう。
水引について、本数や結び、色
お供え物に使う掛紙の水引ですが、「結び切り」を選びましょう。
これは二度と繰り返さないようにという意味があり、とくに弔事関係や、婚礼関係、快気祝いなどに使われます。
お盆は祝い事なのか、お葬式なのか微妙な所ですが、供養をするという意味があるので水引の色は基本は白黒、または双銀を使います。
白黒は本数が5本か7本、双銀は7本か10本を選びましょう。
(※地域によっては黄白の水引が使われることもあります。黄白なら本数は5本か7本です。関西や四国、九州などの一部で使われるようです。)
水引の色がどれがいいかわからない場合は、予めお供え先の地域の人に尋ねたり、店頭の売り場の人に聞いてみると合わせた色を準備してくれます。
- 関東…白黒の水引(5本か7本)
- 関西…黄白の水引(5本か7本)
- (双銀…7本か10本)
表書きについて
亡くなられた日、宗派などに影響しないすべてのお仏前に使用できる書き方は「御供」、または「御供物」です。
店頭などで包んでもらう際も、この書き方がよく使われています。
表書きを墨で書く際は、お葬式なら薄墨(墨が薄くなった)で悲しみを表しますが、お盆で御供と書く際は薄墨である必要はありません。
※無地のしを使う人がいますが、これは相手が両親などの簡略化しても失礼ではない相手のみです。
マナーとしては、きちんと表書きや名前を入れることが必要です。
短冊は使えるのか?
短冊は掛紙と比べると略式で、とりあえず紙片に表書きと署名をするといった意味合いがあります。
短冊は急な用事(御見舞など)に使われるので、相手が特別親しい場合でない限り、なるべくなら掛紙をつかうといいです。
しかしお盆の場合、親戚などの集まりが多いので、あまり堅苦しくしたくないときや、品物に掛紙をかけにくい場合はこちらを用いてもいいでしょう。
お盆にお供えする食べ物・お菓子・砂糖菓子、相場について
お盆では、故人や先祖にお供え物をするので、生前故人が好きだった食べ物をお供えするのが良いでしょう。
また、お供え物は仏壇の中央にいる仏様に対して、お供えをするという意味もあります。
お盆は、3~4日間の期間があるので、その間お供えしておけるようにと、日持ちするものが好まれます。
とくに個包装になっている菓子折りは後でみんなで食べることができ、お寺などにも持っていくことが出来ますので、迷った時はこういった日持ちのするものを選びましょう。
注意点として
- お盆の時期には殺生してはいけないとされているので、肉や魚をお供えものにするのは避ける
- 地域によって、草取りや木の枝の剪定も控えるところがある
昔は4本足の動物たちが、人の足としていっしょに生活していました。
祖霊といっしょに生きてきた動物たちに感謝するという意味で、動物性の食品はお供え物に使わないほうが良いでしょう。
お盆のお供え物には厳しい決まりのようなものはありませんが、故人や祖霊のことを考えてお供え物を選びたいですね。
- お盆のお供え物には厳しい決まりはないので、故人が好きだったものを供えるのが良い
- お盆の3~4日間に供えておけるような、日持ちのする菓子折りなどが良い
- 個包装になっていると、お盆が終わった後にみんなで食べれる
- 動物性食品がメインになっているものは避けたほうが良い
お供え物の例
一般的に使われるお供え物を紹介します。
<仏花>
お盆の時には通常花を供えますが、この時はできれば花びらの付いている蓮を供えるといいでしょう。
お盆では15日に、祖霊や故人が夕方、蓮の花びらを船にして帰っていくと言われています。
蓮には「蜂の巣」と呼ばれる種類もありますが、こちらでは花びらが無いので、仏花としても不向きです。
なお、ホオズキをひとつずつ入れると、お盆に戻ってきた水子が喜ぶといわれます。
<盆菓子>
いわゆる「落雁」と呼ばれるお盆菓子ですが、最近ではそのまま食べるものの他に、砂糖を袋詰にしたものも出ているようです。
Twitterにありました。
ら、落雁だと思って買ったお盆の御供え菓子が、袋詰めの砂糖だった……最近はこんなものもあるのか……。 pic.twitter.com/d5x3g5Dm6m
— 基中 (@motonaka) 2015年8月18日
<果物>
とくに夏は、スイカやモモ、メロンが美味しく食べれる季節ですね。
冷蔵庫が無かった時代は、冷やしたスイカが大変喜ばれたそうですよ。
<菓子類>
基本的には、何を選んでも構いません。
お盆が終わった後にみんなで食べれるものが良いので、個包装の袋に入ったお菓子がオススメですね。
夏であれば水ようかんなども涼しげでオススメです。
他には、おかきや豆菓子、おせんべいといったものなら、誰でも食べれて好き嫌いが出にくいでしょう。
- おかき
- 水ようかん
- お煎餅
- まんじゅう
- 豆菓子など
<飲み物>
ジュースやお酒、麦茶、アイスコーヒーなど、決まりはありません。
故人が好きなものを供えてあげましょう。
<惣菜>
とくに、夏に旬になる野菜を使うと良いでしょう。
ナスやきゅうり、かぼちゃやトマト、ヘチマなど。
そうめんなどもお盆らしくていいですね。
<うちわのお菓子>
私の地方では馴染みがないのですが、こちらのようなお菓子です。
ウチワのお菓子♫
めっちゃカワイイ pic.twitter.com/02CsdPxb4f— kobame (@kobame2) rel=”nofollow”2015年7月28日
水子が喜ぶとされ、関西地方でお盆の時期に販売しているようです。
(ただ、売っているお店は少ない模様…。)
<お団子>
お団子と行っても、あまり厳密に考える必要はなく、おはぎや大福でもいいでしょう。
もちろんみたらし団子でも良いですよ。
夏場の暑さで、食品が悪くなりやすいので、お惣菜や切った果物は、できればこまめに取り替えましょう。
<他、お供えによい食べ物>
- 焼き海苔
- 昆布
- スナック菓子
- 焼き菓子
- お砂糖など
お寺に持っていくお供え物について
すぐに悪くなってしまうような、生ものは避けましょう。
夏の行事であるお盆では、夏野菜を使った惣菜やお団子といったものを作るとは思いますが、お寺の場合は日持ちのする菓子類がいいでしょう。
切っていない果物類などもお供えに使えますが、持ち運びの時に潰れたり、悪くならないよう配慮が必要です。
- 羊羹
- ビスケット
- クッキー
- せんべい
- まんじゅう、大福など
- ミカン、モモ、メロンなど
- 飲み物
実家などにお供え物を持っていくときのポイント
故人の好きなモノを知っているなら、フルーツやお酒、お菓子、お惣菜などのほか、ろうそく、お花、お線香、飲み物などがよくお供え物として持参されます。
とくに決まりはないので、故人がお盆で戻ってきた時喜んでもらえるよう、帰省する前に、お土産として特産物をお供え物に買ってくるのもオススメです。
お供え物は形にとらわれず、故人や祖霊が喜んでくれるか?ということを考えれば、難しくありません。
供養するときの気持ちが何よりも大切です。
お供え物の品の相場について
菓子折りなどを購入するなら、だいたい3000~5000円くらいが相場と言えます。
実家などであれば、毎年行われるお盆ですから、あまり高額なものを供える必要はありません。
お金を直接お供えするならいくら?
お供えものをする際、お金を直接のし袋に包むという方法もあります。
これはお盆になると、一つの家が、お供えの品物をたくさんいただくことで、お盆が終わった時、食べきれないことがあるからです。
するともったいないことになってしまうので、気配りとしてお金を包むというものです。
基本的に金額は、お供え物の値段と同じ3000円~5000円くらいで大丈夫ですが、
- 初盆…1万円くらい
- それ意外…3,000~5,000円
のし袋の表書きには、「御仏前」または「御供物」と書いて包みましょう。
人によっては初盆でなくても、10000円包む人がいるようです。
初盆意外ではあまりお金を包む家庭はないようですが、外から来た人が配慮としてお金をのし袋に包んで、お供えに持ってくることもあるようです。
家庭や地域によっても風習が変わりますので、先に確認しておくといいですね。
また、お葬式に参列した時の半分から三分の一くらいにすることもできます。
お供え物の品とお仏前をいっしょに持っていく場合は、お仏前を5000円くらいにし、お供え物を3000円ほどにするという形にもできます。
初盆のお供え物・マナーについて
お供えするものは普通のお盆とあまり変わりありませんが、初盆だとお仏前としてお金をのし袋に包んでくる人もいます。
- お供え物を持参
- お仏前とお供え物を持参
- お仏前を持参
こういった3パターンが考えられますね。
初盆の際のお仏前の金額は10000円ほどと先に書きましたが、人によって幅があり、だいたい3000円~10000円の開きがあるようです。
また、お供えものは故人へ供えるものなので、ギフトなどの特別なものより、普段から食べれるような定番のものを選ぶようにしましょう。
<お線香>
お盆でも、仏壇で必ず使う定番のお供え物がお線香です。
しかし、お供え物としてもらう量が多すぎて困るということもあり、使い切れないといった言われ方をすることもあります。
初盆ではお葬式の業者がサービスでくれることがあり、できるならあまりたくさんは贈らないほうがいいでしょう。
※マンションなどでは、煙や香りが気になるといった場合もありますので、お供え物にするときは居住環境も確認しておきましょう。
<お花>
お花もお盆では飾る種類に決まりがなく、贈り物としてはいいでしょう。
ただ、生花の場合はたくさんもらいすぎて飾りきれないという人もいます。
一方で夏場は花がすぐに枯れてしまうので、生花が重宝するという人もいます。
つまりは家庭によりけりと言えますので、生花をお供え物にしてよいか?は先に確認するといいかもしれません。
※また、初盆では故人が亡くなられて時間が経っていないので、故人が好きな花を見るのが辛いというご家庭もあります。
その場合は、故人が好きな花を避けて、お供え物の花を選ぶようにしましょう。
<お菓子・食べ物>
定番のお供え物である上、日持ちのするもの、個包装のものを選べばとくに喜ばれます。
冷菓がおすすめですが、ゼリーは選ぶひとが多いため、おかきやお煎餅、おまんじゅう、水ようかんといったものを考えてみましょう。
食べ物を送る場合、初盆では、故人が好きだったものは避けてください。
お花と同じ理由で、故人が亡くなった悲しみを思い出させることになるので、早くても初盆の翌年からが良いでしょう。
<果物>
果物の場合、スイカなどであればそのままで大丈夫ですが、メロンやモモなどははまだ熟しきっていないものがいいでしょう。
あまり果物は日持ちしないので、気になる場合は、瓶詰めや缶詰といったものもおすすめです。
「新盆」はどう読む?
故人がなくなり、初めて行う盆を「新盆」と呼びますが、これは一般的に「にいぼん」と読むようです。
地域によっては、「しんぼん」「あらぼん」といった呼び方をすることもあります。
ちなみに「新盆」以外にも「初盆(はつぼん)」といった呼び方があります。
新盆の服装は?
基本的には喪服で大丈夫ですが、夏場の暑い時期なら、地味めな平服でも構わないでしょう。
故人の知人や友人として、初盆に招かれた時は正式には略式喪服を着用するのがマナーです。
※施主や遺族より、礼服の格が上になってしまわないよう、注意しましょう。
お供え物を配送する場合
新盆では親戚などがたくさん訪問されることもありますので、無理に行く必要はありません。
しかし、気持ちとしてお供え物を差し上げたいときは、配送で届けるようにしましょう。
これも普通のお盆と同じく、だいたい8月10日くらいに届くようにするとちょうどよいですね。
※生花や生のフルーツなどは、悪くならないように注意です。
もし渡すだけでも直接行きたい場合は、人を大勢集める地域もあるので、対応などで迷惑にならないよう事前に連絡を入れましょう。
お供え物は、その場に渡したい人がいなければ、代わりの人にメッセージを伝え、お渡しします。
- お供え物を届けるなら、盆の入りの2、3日くらい前が良い。
- 直接渡す場合は、先に連絡を入れる
また、一言書いたお手紙などを添えておくと、相手としてもありがたいでしょう。
お手紙の内容は難しく考える必要はなく、カードなどでもいいですし、気持ちを書いた一文、二文で十分です。
予め連絡先を書いておくと、後々相手が連絡を入れたい時に大変便利です。
お供えのマナー
食べ物は食べられる状態でお供えするのがマナーです。
もともと、祖霊や故人のために食べ物をお供えしているので、包んだままお供えするのはマナー違反です。
そうしないと、ご先祖様が食べ物の中身がわからず、食べられなくなってしまいます。
- 個包装の菓子類…水ようかんなどは箱から出して、おかきやお煎餅も小皿に出してすぐ食べられるようにお供えする。
- スイカ、メロンなどのフルーツ…きちんと切り分けて故人が食べられるようにする。ぶどうは洗って小皿に、リンゴは皮をむく。
- そうめん…乾麺のまま出さないようにする。茹でて麺つゆやお箸もいっしょに出す。
五供(ごく)と呼ばれるお供えの基本
五供とは、祖霊や故人がお盆に戻ってきた時、存分におもてなしをするための5種類のことです。
一般的には、お香、お花、明かり(灯燭)、水、食べ物の5つのことを指します。
<お香>
お香とはいわゆる線香のことで、その香りは生きている人の心と身体を浄化する作用があるとされています。
身体が清められ、落ち着いた状態でご先祖様に向き合うため、必要になります。
お香の香りは隅々まで行き渡ることから仏の慈悲を象徴し、香りを感じることで「悟りの世界へ導かれる」と言われています。
通常は立てて供えますが、横に倒してお供えするところもあり、お供え物の中では最も再優先され、毎日お供えします。
<お花>
お花は、お供えする人の心を表し、花のように美しく清らかな心で祖霊と向き合うという意味があります。
故人が好きだったお花を供えてもいいでしょう。
また、花はいつか必ず枯れてしまうことから、命の尊さを生きている人に教えるためにお供えするものでもあります。
夏場はすぐにしおれてしまいますから、できるだけお花はすぐに枯れてしまわないよう、水の取り換えを忘れずに行ってください。
<明かり(灯燭、とうしょく)>
祖霊や故人がいる場所(仏前)を明るく照らしてあげるために必要になります。
灯燭を使い照らしますが、火は仏様の慈悲や叡智を表していると言われ、生ある人間を導き、安息を与えてくれるとされます。
なお、明かりは息を吹きかけて消すのはマナー違反とされており、
- 仏に息を吹きかけるのは失礼に当たる
- 口は不浄なものと言われるので、神聖な明かりを息で消してはいけない
などの言われがあります。
手で扇いで消すか、仏扇と呼ばれる専用のもので扇いで消します。
またはロウソク消しと呼ばれる、かぶせて火を消す道具もあります。
ロウソクはいつしか燃え尽くす様子から、人の生の無常を表していると言われています。
<水(浄水、じょうすい)>
清らかな水を供えることで、心の穢れを洗い流し、浄化することを意味しています。
これを浄水(じょうすい)といい、清浄な水であれば水道水で構いませんので、毎日新鮮な水をお供えします。
浄土真宗など、宗派によってはお茶のお供えをしないところもありますが、一般的には水やお茶を供えます。
<食べ物(飲食、おんじき)>
普段食べるものを供えます。
炊きたての御飯や初物、いただきものなど、食べられる状態で供えることが大切なので、封がされているものは開封してお供えしましょう。
夏場は季節柄、食べ物が傷みやすいので、悪くなったものが祖霊の口に入らないよう早めにお下げします。
また、霊供膳は精進料理なので、肉や魚などの生臭い食品は避けます。
お供え物を下げたら捨てずに、ありがたく頂きましょう。
朝供えたお供え物は早めに下げる
お盆ではお供えする食べ物を、そのまま食べれる状態で供えるので、あまり日持ちがしません。
基本的には湯気や香りといったものがすっかりなくなれば、祖霊や故人がもう召し上がっているので、悪くなる前に下げて構いません。
朝供えたものは午前中に下げていいでしょう。
お供え物は捨てずに食べることで、祖霊とのつながりを噛みしめることができ、いっしょに頂くことで供養になります。
お盆が終わった後の果物や菓子なども、訪問したお客さんにお出しして大丈夫です。
もし、一度お供え物として出したものを食べるのに抵抗がある場合、白い紙に包んで処分してください。
そのときは、感謝の気持ちをもって処分してくださいね。
迎え火と送り火について
迎え火…祖霊のお迎え
迎え火とは、お盆の初日である盆の入り(8月13日、または7月13日、旧盆も初日)に、祖霊がやってくるときに道に迷わないよう、目印とするために行います。
一般的には家の門の前や玄関などで、焙烙(ほうろく)と呼ばれる素焼きのお皿の上でオガラ(皮をはぎとった麻の茎のこと)を焚き、祖霊を自宅に導きます。
ほかには、玄関の前に提灯を下げて、迎え火の代わりとする地域もあるようです。
お墓で行う方法もあり、お墓参りをした後にお迎え用の提灯に明かりを灯し、目印とします。
すると祖霊がその明かりに気づいて、そのまま家まで導くことで自宅に連れ帰ることができるのです。
先祖の霊は、盆提灯の明かりを目印にしていると言われているので、お盆の期間中、家には提灯を飾ります。
- 迎え火は祖霊がやってくるときの目印にするために行う
<迎え火のやり方>
迎え火は、地域によってやり方が微妙に違っていたりします。
共通するのは時間帯で、祖霊から火がきちんと見えて私たちの手元も見える時間帯、つまりは夕刻に行います。
- 墓前でお墓参りをしてから、提灯に火を灯す
- 提灯をそのまま家に持って帰り、祖霊を家に迎える
- 玄関で迎え火を消す
と、基本はこのようなスタイルで行うのが迎え火です。
迎え火を仏壇のロウソクに移すこともあるようです。
微妙に変化したものであれば、
【他1】
- お墓参り後に火を灯して、消す
- 庭先で、提灯に火を灯す
【他2】
- 自宅の仏壇の前でお盆用の提灯に火を灯す
- 玄関まで持って行き、黙祷してから火を消す
といったようなやり方もあるようです。
マンションでは玄関で火をたくのが難しいので、提灯をつるすだけでも大丈夫でしょう。
(最近では、安全のため、盆提灯用のローソク電池灯があります。)
家の玄関の前で火を灯しているのは共通しているので、祖霊に家の場所がわかるようにするのが一番大切だと思われます。
また、お寺に提灯を持って行き、お経を唱えてもらってから火を灯してもらう方法もあるようです。
そして火が消えないように自宅まで持っていき、提灯の火で仏壇のろうそくに火を灯すことで、祖霊を迎えることになります。
提灯は、とくに新盆のときは故人が初めてやってくるお盆なので、新盆用の白提灯を忘れずに飾りましょう。
また、きゅうりを馬に見立てた精霊馬を爪楊枝や割り箸を刺して作り、先祖を迎えるところもあります。
送り火…祖霊をあの世に送る
送り火はお盆の最終日である16日、または15日の午後(夕方)に行います。
送り火ではナスで精霊馬を作る地域もあり、牛に見立てています。
祖霊がゆっくりとあの世に帰れて、お供え物をたくさん積めるようにと思いを込めています。
<送り火のやり方>
- 仏壇の火をロウソクに移し、門口まで運ぶ
- 門口で蝋燭の火をオガラに移して送り火を焚く
- その火から、新しいロウソクに火を移し、提灯に入れてお墓まで持っていき、お参りする
お墓までが遠い場合は、自宅の前でオガラを焚いてもよいとのことです。
また、お盆が終わった後の精霊馬は、気持ちを込めて土にうめるか、白い紙に包んで清め、処分します。
お盆の期間について
お盆は一般的に、8月13日~8月16日の4日間だと言われています。
現在ではこの8月の時期に毎年「お盆休み」として休日ができますが、この期間は月遅れ盆とも呼びます。
7月にお盆がある地域もあれば、沖縄などでは旧暦の7月15日にお盆を行うため、毎年のように日付が変わったりします。
- 旧暦の7月15日
- 8月盆(新暦8月15日)
- 7月盆(新暦7月15日)
7月盆では、旧暦の7月という日取りをそのまま使っているので、旧暦よりも早くお盆を迎えることになりました。
なぜ、お盆の時期が場所によって変わってしまったのか?というと…。
新暦に変わった明治時代に、もともと旧暦の7月15日で行っていたお盆の期間を統一せず、地域によって解釈が変わり、違う期間にお盆が行われるようになったからです。
お供え物を持って行く時は、盆の入りである13日か、中日の14日に持って行きましょう。
これらの日付に行くのが難しい場合は、お供え物を配送するのも手段です。
その場合、盆の入りの3日前(8月10日)ほどに届けるようにするといいです。
※お盆で訪れるのが難しい場合、電話で相手にその旨を伝えるとより親切です。
【花】お盆で使ってはいけないお花はあるのか
お盆でお供えするお花に決まりがあるのか?というのは気になるところでしょう。
実は、お供えしてはいけない花というのは決まりがありません。
なぜなら、各家庭や地域などで風習がそれぞれ違いますから、一概には「この花がダメ」とは言えないという点があります。
一般的に避けたほうが良いのは、
- 棘のある花(バラなど)…鋭さがあるのでお供えには向きません。トゲを取り払えば大丈夫でしょう。
- 香りの強い花・異臭がする花…お盆時の仏前は、たくさんの人が訪れます。香りが強いと不快な思いをさせてしまう可能性があります。
- 毒のある花…身近な所では、スイセン、スズラン、彼岸花などがあります。
- 黒い花…仏前に置くと、縁起が悪いので避けましょう。
- 花がボトッと落ちる花…椿などが代表的ですが、昔の日本では首を切り落とす様子に似ているので縁起が悪いとされていました。
- 不吉な花言葉の花…意外な花に不吉な花言葉があったりするので、特別故人が好きな花でなければ、避けたほうが良いです。
- 派手すぎる色のお花…あまり色が派手だと、仏前に飾る花としてはふさわしくないと言われます。
- つる状の花…仏壇につるが伸びることがあり、好ましくない。
故人が好きな花を意図してお供えしているのであれば、気持ちが大切なので、花言葉は気にする必要はありません。
色は、仏前に置くなら基本的に紫、白、青、薄黄色などのお花がオススメです。
とくに紫の花は仏教において、「お経を上げる」という意味があるのでお盆にベストですね。
お盆は故人を偲び、祖霊にお供え物をする行事なので、故人が好きな花があればぜひそれを尊重し、使うと良いでしょう。
昔は菊が主流でしたが、現在ではお花屋さんで様々な種類のお花を買うことができますから、一番は気持ちを尊重することが大切です。
- お供えしてはいけない花の決まりはない
- 避けたほうがいい花を知っておく
- 色は紫や白、青、薄黄色などがよい
- とくに紫の花には、仏教でお経を上げるという意味が合うので、お盆に合う
- 故人が好きな花があれば、それを使うのが良い
【選び方】お花を選ぶ時のポイント
お花には二種類あり、
- 洋花(明治以降に日本に入ってきた観賞用の花。)
- 和花(古来より日本に存在する花。茶室にしつらえる茶花の花など。)
日本の花かどうか?というのは分類が難しいともされますが、あまり仏壇の雰囲気にそぐわない花は、飾らないほうがいいかもしれませんね。
また、長持ちするトルコキキョウやキクといった花もいいでしょう。
【ユリの花】意味
ユリは価格がお高めな分、見栄えがよく豪華な印象を与えます。
特に白色は仏前に供えるにも最適で、メインのお花にもなるので、相手も「よいお花を贈ってくれた」といった印象を感じてもらえることができます。
白いユリであると、カサブランカが代表的で、この花は葬儀でも使われ1本で1500円ほどの値段がします。
また、鉄砲ユリは仏花によく使われます。
他にも白いユリには品種がたくさんあり1000円以下の手頃なものもありますので、花屋さんで見てみたり、お店で聞いてみてもいいでしょう。
(※オリエンタル系など、香りの強い品種には注意)
ユリには純粋・無垢・威厳といった意味の花言葉があり、仏前に飾るのでも問題はない花です。
好き嫌いさえなければ基本的には相手が誰でも贈って大丈夫ですが、注意点は相手がクリスチャンである場合です。
<ユリを贈る際の注意点>
- 白いユリは聖母マリアの象徴であるとされるので、相手が敬虔なクリスチャンであると畏敬を抱き、避けて欲しいと言われることがある。
- クリスチャンでもユリが大丈夫な人もいるので、先に聞いておくとよい。
【キク】意味
キクが使われることが多いのは、一年を通して調達しやすいのと、安価な上に庭や畑でも生えさせやすいという点があるからです。
日本にも昔からある花なので、仏前に供える花としては一番定着しているお花です。
菊には邪気を祓うという意味と、長持ちのする特性から仏前に供える花として最適だという点があります。
キクには、高貴・高潔・高尚といった意味の花言葉があり、種類も豊富で、鎌倉時代に後鳥羽上皇が好んだ花です。
- キクは日本でも昔からあり、安価な上に一年を通して調達しやすく、庭でも生えやすいので一番定着している
- 邪気を祓う意味と、長持ちがするので仏前に供えるのに向いている
- 高貴、高潔、高尚といった意味の花言葉がある
【トルコキキョウ】
洋花として広く使われているのがトルコキキョウ(リシアンサス)で、日持ちがするので、お盆の仏壇に供えるのにも適しているお花です。
すがすがしい美しさ・優美・希望といった花言葉があり、色も様々にあります。
白のほか、黄色やピンク、グリーンといったバリエーションが揃っており、仏前に供えても派手すぎない色がそろっています。
八重咲きの品種もあり、値段も花屋さんによって変わってきます。
【仏前に花を飾る理由】
花は仏様へお供えしているのではなく、花が枯れて、いつかは命あるものは死ぬという摂理を表しています。
生きている人はそのことを知っていても、普段はそれを忘れて暮らしていますから、その「命の尊さ」を再確認させるためにあります。
仏様は食べ物は精霊馬に乗せて持って行きますが、花を供える本来の役割というのは、生きている人に生と命の尊さを自覚させるためにあるのです。
【贈り物とする場合】お盆で飾る花はいつ送る?
やはり、早く贈り過ぎてしまうとお花は枯れてしまうので、お盆期間に入る二日前くらいがベストでしょう。
遅すぎても準備の期間に間に合わない可能性もありますので、注意です。
また、お盆は場所や地域によっても時期が違っていることがあるので、自分の地域とは風習が違っていないか確認しておくと良いですね。
基本的には、
- 旧暦7月15日(旧盆)に行う地域…沖縄、奄美地方など
- 新暦7月15日に行う地域…東京、横浜、函館、金沢旧市街地、静岡旧市街地など
- 新暦8月15日(月遅れの盆)に行う地域…西日本、北関東以北(東北、北海道)、全国的
この他にも、東京都小金井市や国分寺市などでは、8月1日に行う特殊な地域などもありますので、先にチェックすることが大切です。
お盆にお供えするお団子について
お盆では「送り団子」や「お供え団子」などと呼ばれる、お団子をお供えするのが一般的になっています。
じつはこういったお団子にも意味があって、
- お迎え団子…盆の入りである13日に、ご先祖様をお迎えするための団子。タレやあんこといったものを準備する。6個か13個がいい。
- お供え団子…祖霊が家にいる間にお供えする団子。ゆっくりとしてもらえるようにという意味をもつことがあり、おはぎを供えるところもある。
- 送り団子…盆の明けである16日に、祖霊の見送りをするときにお供えする団子のこと。ご先祖様があの世に持ち帰る。なにもつけない白団子を供えるのが一般的。
送り団子は特別白色でなければだめという決まりはないそうです。
日本ではお月見の文化もありますから、いつの頃か、自然と白色のお団子が添えられるようになったのでしょう。
お盆のお供え物まとめ
お供え物をしたら、暑い時期なので悪くなる前に下げるのがポイントです。
落雁は食べてもいいですが、どうしても口にすることにためらいがある場合は、感謝の気持ちとともに白い紙に包んで処分しましょう。
また、今年2016年は祝日として、お盆の近くに「山の日」が導入されましたが、お盆休みの期間がどのくらいになるか気になりませんか?
⇒【2016年】お盆休みの期間はいつからいつまで?時期を地域別で紹介!公務員や銀行など
祝日である山の日のあとには、どうやら平日が1日だけ挟まるようですよ。
気になったらぜひご覧になってくださいね。
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