かぜは寒くて乾燥する冬にかかるものと一般的には思われていますが、夏の暑さや湿気を好むウイルスも存在し、これらに感染することを夏風邪と呼びます。
夏風邪のウイルスは気温が高く、湿気が多い所を好むので、梅雨時から夏にかけて流行りだすのです。
今回は夏風邪の特徴について見ていきましょう。
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夏風邪とは何か?
夏風邪はウイルス感染によって引き起こされます。
風邪のウイルスは200種類存在すると言われており、そのうち夏の暑さと湿気を好むウイルスが夏風邪として現れるようになります。
そうしたウイルスに夏場に感染することを夏風邪と呼んでいるのです。
夏風邪がはやりやすいのは、湿気が高い5月~8月の期間で、重症化することで失神やけいれんに進行すると言われています。
最悪の場合は身体も耐えられなくなりますので、夏にかかる風邪ならすぐに治るだろう、と軽く見ていると非常に危険であることを知っておいて欲しいと思います。
夏風邪の原因
夏風邪にかかってしまう一番の原因は、身体を冷やしすぎてしまうことにあります。
<夏に身体が冷えてしまう原因>
- 汗をかいたままクーラーや扇風機などの冷房に当たる
- 極端に低い温度の冷房をかける
- 冷やした水や飲み物、アイスなどの冷たいものの食べ過ぎ(内臓が冷えたことが原因)
- 入浴をシャワーですませてしまう
- 極端な薄着を着ている
- 熱帯夜での睡眠不足
- 冷房で喉や鼻の粘膜が乾燥すると夏風邪につながる
夏に身体を冷やしてしまうと、秋冬の冷えにも影響する上、体温が下がることによって免疫細胞の働きが弱まるため、免疫力が低下するのです。
すると感染症にかかりやすくなるので、夏風邪はもちろん、別の病気を引き起こすリスクが高まったりします。
とくに汗をかいたまま冷房にあたったりすると、風邪にかかるだけではなく、神経痛や頭痛、下痢といった症状が現れるようになります。
足を冷やすと起こる症状
夏場は布団に入っていても、ついつい体温が上がって足だけ布団の外に出したまま寝ることはないでしょうか?
その場合は朝になって急に冷え込むようになったりして、身体に不調も現れるようになります。
- 頭痛
- 吐き気
- だるさ
- 疲れやすくなる
- 神経痛
- 目の痛み
- 腹痛・胸痛
もちろん、普段から薄着ばかり着ていたり、足が見えるようなサンダルなどの足元を冷やすような靴ばかり履いていると、身体が冷房に負けて身体の調子が悪くなります。
外に出ているときはいいのですが、室内で冷房をつけるときはきちんと靴下やレッグウォーマーなどを着用して対策をするようにしましょう。
夏風邪の症状
夏に風邪としての症状が現れると「夏風邪」と呼ばれるようになりますが、ウイルスの種類が違うため、冬にかかる風邪とは起こる症状がまた変わってきます。
<夏風邪で引き起こされる症状>
- 頭痛
- 喉の痛み
- 下痢・腹痛
- 発熱
- 咳
- 吐き気・嘔吐
冬の風邪がくしゃみや鼻水などを伴うのに対し、夏風邪は腹痛や下痢といった症状があるのが特徴です。
(※一部、ライノウイルスにかかった時は夏風邪でも鼻水が出ます。)
冬に感染するウイルスは乾燥している所を好みますが、夏に感染するウイルスは気温が高くて湿度が高い(高温多湿)場所を好むウイルスが流行します。
発熱は37.5度くらいの微熱が続きますが、子供がひいた場合は高熱になることもあります。
風邪は身体に疲労が溜まることで体力や免疫力が落ちて起こりますが、咳や発熱、下痢といった症状が現れることで身体の抵抗力の回復が遅くなります。
下痢が起こると栄養が腸で吸収されなくなってしまう上に、咳は夜に床についてから明け方に咳き込むことが多いので、寝不足に陥りやすく、夏風邪は長引くことが多いのです。
体力や免疫力が落ちるとなかなか夏風邪から回復することもできませんので、咳や下痢を早めに治すことが大切なポイントになります。
夏風邪の症状は、かかるウイルスによって症状が変わってきます。
「喉」アデノウイルス…喉の痛み、咳、発熱など
初期の症状で喉や咳に来る夏風邪にかかってしまったら、アデノウイルスの感染を疑いましょう。
「アデノ=喉」という意味で、激しい咳や喉の痛みを引き起こすウイルスです。
<症状>
- 激しい咳
- 発熱
- のどの痛み
- 結膜炎
お腹までに症状が現れるようになって発展していくと、ウイルス性胃腸炎(感染性腸炎)や下痢といった症状を引き起こすこともあるウイルスです。
アデノウイルスは夏風邪を引き起こす「風邪症候群」の原因として知られており、夏場のプールから感染が広がる傾向があるので「プール熱」とも呼ばれています。
インフルエンザ並みに感染の多いウイルスで、飛沫感染や接触感染(くしゃみや手が触れたりなど)も原因となると言われているので、手洗いやうがいが予防策になります。
プールに入った後は必ず前後にシャワーを浴び、清潔にするようにしましょう。
「腸」エンテロウイルス…腹痛、下痢、発熱、のどの痛み
「エンテロ=腸」という意味で腸の中で繁殖するウイルスがエンテロウイルスです。
主に子供が感染する夏風邪だと言われており、手足口病やヘルパンギーナを引き起こします。
日本だと毎年6月頃から流行りだし、秋口くらいまで続きます。
<症状>
- 腹痛
- 下痢
- 発熱
- 喉の痛み
ほかにも疱疹と呼ばれる、皮膚にすいほう(水疱)が集まったような症状が現れることもあり、ヘルペスとも呼ばれます。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)と呼ばれる針で刺されたような痛みを感じることもあります。
エンテロウイルスは子供だけでなく大人がかかることもあり、同様に夏風邪の症状が見られることもあります。
しかし、エンテロウイルスは感染しても不顕性感染という状態になり、何の症状も出ないことがほとんどです。
大人の場合は小さいころにエンテロウイルスによって発症したことで免疫を持っていることが多いです。
※エントロウイルスにも種類があるので、種類が違えばもう一度感染することがあります。
コクサッキーウイルス…高熱、喉の痛み(エンテロウイルスの仲間)
コクサッキーウイルスはエンテロウイルスの仲間で、熱が上がりやすく高熱が出るようだったらこのウイルスに感染している可能性があります。
コクサッキーウイルスはヘルパンギーナを引き起こし、ヘルパンギーナとは「ヘルペス(疱疹)」と「アンギーナ(口峡炎)」を混ぜて名付けられています。
<症状>
- 高熱
- 喉の痛み
- 口内炎
子供がかかりやすいウイルスと言われていますが、成人でも感染することがあります。
ヘルパンギーナは口峡部に1~2mmくらいの白い水庖が現れ、従来は新生児から小学校に入るまでの子供に見られていましたが、最近では大人でも見られることがあるようです。
エコーウイルス…腹痛、発熱、下痢
エコーウイルスは子供がかかりやすい夏風邪で、エンテロウイルスやコクサッキーウイルスと同じ腸内ウイルスでです。
エコーウイルスの熱は1~2日ほど高熱が出た後に一度下がって、再度半日ほど熱が上がることが多いです。
腹痛や下痢などの症状は出ますが、咳や鼻水といった症状はほとんど見られません。
解熱後には、頬や手足に発疹が出るのも特徴です。
<症状>
- 腹痛
- 下痢
- 発熱
- 高熱が下がっても、また熱が上がる
- 発疹(頬、手、足)
- 悪寒
- 吐き気
- 嘔吐
大人はエンテロウイルスの免疫がついているので、かかっても症状が現れないことが多く、気づかないことがほとんどなのです。
逆にまだ免疫がついていない子供は、感染することで症状が現れるので、エンテロウイルスは子供がかかりやすい夏風邪とされているのです。
ウイルスによる感染症なので、抗生剤が効かず、薬を使わずに経過を見ます。
ライノウイルス
ライノウイルスは大人の夏風邪に多いウイルスで、「鼻かぜウイルス」とも呼ばれており、感染すると鼻水が出るようになります。
ライノウイルスは1年中活動をしており、温度が低いのを好むため、体温が高くなるのどや口元にはあまり進まず、鼻に留まって症状を起こす特徴があります。
ライノウイルスに感染してもたいていの場合は軽い鼻風邪程度ですみます。
しかし、最初は水のような鼻水だったのが徐々に粘着性の高い鼻水に変わっていきますので、しょっちゅう鼻をかまなければいけないことに不快感を感じる人は多いようです。
主に夏バテや冷房のかかりすぎでかかることが多く、外との気温の差に身体がついていけないことで引き起こされます。
夏バテは、人間の身体は体温を平熱に保とうとしますので、極端に暑い中では汗を出して熱を体内から排出しようとします。
体温を下げようと頑張るために、身体のエネルギーが体温調節に使われていきます。
そうすると胃液の分泌が減って食欲がなくなり、身体の免疫が落ちて夏風邪にかかりやすくなるのです。
また、まれですが、ライノウイルスは満1歳から小学校になるまでの子供にかかることもあり、この場合は症状がやや重く気管支炎などを引き起こすことがあります。
夏風邪の治し方
夏風邪は、ウイルスを退治できる有効な薬というものが存在しません。
夏風邪は体力や免疫力の低下、身体を冷やすことが主な原因とあるので、まずは身体を冷やし過ぎない、水分補給をする、よく眠って休む、食事で栄養をたっぷり摂ることが一番の治す方法です。
市販で売っている風邪薬を飲んでも、基本的に症状を和らげるくらいの効果しかなく、根本的な解決にはなりません。
まずは身体の抵抗力や免疫力を高めて(血液の中にあるリンパ球の作用)、ウイルスが体の外に出て行くのを待つしかありません。
<夏風邪を治すために必要なこと>
- 脱水症状にかからないようにするため、スポーツドリンクなどで水分補給
- 喉が痛くて水分がうまく飲めないときは、病院で点滴を受ける
- ゆっくり身体を休めることで、ウイルスと戦う免疫を作る
- 栄養をしっかりとることで、夏風邪からの回復も早くなる
- 咳が夜起こらないようにするため、咳止め用の薬を飲む
- 微熱であればぬるめのお風呂に入るのも良い
- これ以上体の調子が悪くならないように、無理をしないこと
- エアコンの温度を下げ過ぎないこと
- 食欲が無い時は、消化の良い食べ物を食べる
- 除湿機や換気で湿度を下げる
咳が夜出ることで、睡眠不足に陥ることがあるため、咳止め用の薬を寝る前に飲むことはお勧めです。
薬は錠剤やシロップタイプのものなど様々あるので、探してみるといいでしょう。
回復を早めるために栄養剤などをいっしょに摂取するという手段もあります。
身体を温めると免疫力を高めますので、微熱であればお風呂にはいるのもオススメです。
(熱が高い場合は、保冷剤などを首元や脇にあてて体温を下げましょう。)
少量のワインに生姜を混ぜたものも免疫力を高めますのでお勧めです。
高熱が出るのは身体がウイルスと戦っている状態で、免疫力を高めることで身体の自然治癒力を高めることになります。
身体は一度ウイルスにかかることで免疫ができ、次には同じウイルスにかからなくなります。
※夏風邪では胃腸障害(腹痛や下痢など)を引き起こすことも多く、食欲がわかないことも多々あります。
その場合は消化の良い食べ物や食べたいと思うものを身体に取り入れるようにしましょう。
<下痢について>
夏風邪では下痢を伴うこともありますが、下痢止めを使うことはお勧めできません。
下痢は摂取した栄養を出してしまう一方で、腸に感染したウイルスや不要なものを排出するために起こります。
なので下痢止めの薬で無理に止めてしまうと、排出したい悪いものが体内に滞ることになり、夏風邪が長引くことが考えられます。
下痢や咳が悪化したり、一向に良くならない、症状が重いようなら、病院で診察を受けてみるのも手段と言えるでしょう。
<薬>
下痢以外で、症状が気になるようなら薬を服用する手段もあります。
薬が必要かどうかは人それぞれ変わってきますので、不安なら、自分の判断ではなくお医者さんに処方してもらうほうが確実と言えます。
- 気道症状(咳など)…鎮咳去痰薬
- 消化管症状(吐き気・嘔吐)…制吐薬・整腸薬
- 発熱…解熱薬
対症療法を行うことで夏風邪は治っていきますが、中には水分補給が足りずに脱水症状になったり、夏風邪のウイルスによって心筋炎などを引き起こして悪化していくこともあります。
あまりにも発熱が続くときや嘔吐が止まらなかったりする場合は、早めに病院で診察を受けましょう。
薬はあくまで、症状を軽くするだけなので、しっかりと休むのが確実です。
夏風邪が長引く時
夏場は汗をたくさんかいて体内の水分や塩分を失ったり、夏バテによる寝不足や疲労、食欲不振によって免疫力やウイルスによる抵抗力が弱まっています。
夏風邪が長引いてしまうのは、暑さによって体力や抵抗力が低下しているのが原因です。
すると体内に入ったウイルスを退治するのに時間がかかってしまい、長引く結果となるのです。
夏風邪を早く治したいなら、よく眠り、水分と塩分をとり、栄養をしっかり摂取することで治すことができます。
また、外と室内の気温差が大きいと自律神経の乱れが起きて、身体の抵抗力が低下する原因となります。
気温が高く、湿度が高くなる環境にいるとウイルスも活発になりますので、治りかけた頃に2次感染を引き起こして症状が長引く結果となるのです。
また、他の可能性として、なぜか咳だけが止まらなかったり長引いたりするときは、夏風邪以外の他の病気も考えられます。
以下から紹介していきましょう。
その1…咳喘息
慢性的に咳が続き、気管支の病気になった状態です。
通常の喘息と同じように、気道がせまくなって、あらゆる刺激によって咳の発作が起こっている可能性が考えられます。
エアコンによる極端な外との気温差や、受動喫煙を含むたばこなどの影響、ホコリやダニといったハウスダスト等が原因となって引き起こされることもあります。
発熱へつながることはあまりないようですが、喘息になることがありますので、心配であれば早めに治療を受けましょう。
その2…百日咳(ひゃくにちぜき)
百日咳菌という菌に感染すると、百日咳(ひゃくにちぜき)という病気を引き起こします。
百日咳の特徴は短く連続的な咳が続き、「コン、コン」といった咳が出るようになります。
また、息を吸い込んだ時、喉の奥で「ひゅー」という笛のような音が聞こえることがあるのも特徴です。
発熱はありませんが、くしゃみや咳などから感染します。
潜伏期間は7~10日で、激しい発作は2~3週間でなくなりますが、完治には2~3カ月かかります。
「百日咳」という病名の通り、約100日後にやっと治ります。
日本では乳幼児期に予防接種を受けますが、大人になってから免疫力が低下すると感染することがあります。
その3…夏型過敏性肺炎
夏型過敏性肺炎(かびんせいはいえん)は、夏場に発生しやすいトリコスポロンというカビに対してアレルギー反応が起こると引き起こされます。
主にエアコンが原因となっていることが多く、発熱や咳、痰や頭痛といった症状が見られ、先に紹介した喘息と見間違われることも多い病気です。
咳からうつることはありませんが、原因となるカビを吸い込み続けることで慢性化してしまうこともあります。
ひどくなれば呼吸困難を引き起こし、肺が健康な状態に戻れなくなることもありますので、一番の対策はカビを取り除くことです。
普段過ごしているところから離れた時、例えば自宅から離れて旅行などに行くと、咳が止まる場合は自宅のカビが原因となって咳が引き起こされている可能性が高いです。
なのでエアコンや浴室、洗面所や台所、寝具といった湿気の多い所を中心に、掃除を行いましょう。
もし長い間咳が繰り返される場合は呼吸器科やアレルギー科などで検査をすることが勧められます。
毎年夏になると咳がでて、発熱の症状が見られる場合は夏型過敏性肺炎を疑ってみましょう。
夏風邪と夏バテについて
- 「夏バテ」…夏の暑さによる疲労やだるさ、食欲が出ないといった症状が出るが、熱は出ない。
- 「夏風邪」…ウイルスによる発熱、喉の痛み、腹痛といった症状が出る。
夏バテの場合は疲労感や食欲不振といった症状が出ますが、熱はでないので身体をゆっくりと休めることで改善します。
しかし夏風邪の場合は、微熱がでて喉の痛みといった風邪らしい症状も現れるようになります。
夏風邪の場合も免疫を高めることで治すことができますが、放置すると症状を進行させてしまうことがあるので、心配な場合は早めにお医者さんにかかるといいでしょう。
また、夏バテの状態だと身体の抵抗力が低下するので、夏風邪にかかりやすい状態になります。
夏風邪「ヘルパンギーナ」
※動画は2015年のものです。
ヘルパンギーナは6月から8月くらいの間にかかることが増えるようになり、夏に流行する急性の咽頭炎です。
ヘルパンギーナを引き起こすのはコクサッキーウイルスがほとんどですが、エコーウイルスが関係していることもあります。
高熱とのどに水疱(すいほう)ができるのが特徴で、時間が経つと水泡が破けて潰瘍(かいよう)になります。
基本的には子供がかかりやすいと言われていますが、20歳以上でも17%の人がかかっているので、子供に限定された病気ではありません。
<ヘルパンギーナにかかる割合>
- 0歳児:44%
- 1歳~4歳:15%
- 5歳~9歳:11%
- 10歳~19歳:11%
- 20歳以上:17%
<ヘルパンギーナの症状>
- 水疱・口内炎ができる
- 高熱(38度~40度くらい)が出る
- 喉や口蓋垂に炎症ができる
高熱が高くなりすぎると熱性の痙攣を起こすこともあります。
年長児は熱が出ても軽度ですむこともありますが、低年齢では高熱を引き起こすことが多いです。
強い喉の痛みを伴い、水分補給が困難になって脱水症状になってしまうこともあるようです。
他にも倦怠感や関節の痛みといった症状が現れることもあり、ウイルスで発症する病気なので残念ながら体内のウイルスを退治できる薬はありません。
大人が感染するのは身体の抵抗力が落ちている時と考えられるので、まずは夏バテなどの状態を作らないように、普段から暑さ対策をすることが大切です。
手足口病(てあしくちびょう)について
手足口病は、その名の通り、手や足、口のまわりに水ぶくれのような湿疹が現れる病気です。
手のひらや足の裏、口の中に2mmから3mmの赤い発疹や水疱をつくり、手足の発疹にかゆみはありませんが、口の中にできると痛みがあることがあります。
コクサッキーウイルスやエンテロウイルスが原因で引き起こされ、熱はあまり上がらず、全身状態は良いことが多いです。
熱は上昇しても37度から38度ほどで発熱しないこともあります。
予防薬などはなく、水疱が伴う痛みによって、食べ物や水分が苦痛となり栄養補給や水分補給ができずに脱水症状を起こすこともあります。
かんきつ類飲料や炭酸水など、刺激が強いものを口にするのは避けて、冷ましたおかゆやアイスクリーム、スポーツドリンクなど、喉の通りがよいものを摂取するようにしましょう。
ヘルパンギーナと似ていますが、手足口病は高熱が出ないのが特徴です。
プール熱
プール熱は、正しくは「咽頭結膜熱」と呼びます。
プールの不衛生な水やタオルの共有などから感染するので、別名としてプール熱という名称で呼ばれています。
咳やくしゃみからも感染する病気で、アデノウイルスが原因となって引き起こされます。
感染力が強く、38度から39度の高熱が3~5日間続き、喉の痛みや、結膜炎を伴います。
強い喉の痛みによって食べ物や水分の摂取が苦痛となるため、脱水症状を引き起こすこともあります。
プール以外にも、ウイルスに感染した手や、唾液や目やにといった、感染した人の分泌物からもうつりますので、手で直接触れないようにするのが大切です。
夏風邪の予防法
夏風邪はウイルス感染によって起こりますので、まずは帰宅後に手洗いやうがいといった、冬場と同じ対策をします。
<夏風邪の予防方法>
- 手洗い
- うがい
- 目薬をつける
- 部屋の湿気をとりのぞく
- ダニが繁殖しないようにする
ダニは呼吸器系に影響し、夏風邪の咳が長引く原因になりますので、ダニ防止グッズやダニ取りシートで対応しましょう。
湿気によってウイルスが発生する原因にもなりますので、除湿機を設置したり、部屋の換気などを行うことも対策となります。
また、夏風邪ウイルスは目から感染してくることもありますので、目薬をつけるのも効果的です。
目的としては目の表面を洗い流すことなので、合うなら種類はなんでも大丈夫です。
【夏バテを予防することも対策になります】
身体の免疫力が弱ってしまえば、ウイルスによって夏風邪にかかりやすくなります。
なので手洗いうがいなどの他にも、疲労を翌日に持ち越さない、水分補給や栄養補給をきちんと行うなどの対策も夏風邪予防になります。
夏風邪の予防その1:ウイルスに接触しない
夏風邪のウイルスは湿気の多い場所や気温の高い場所などに発生します。
なのでまずはウイルスが発生する場所に近づかないことも対策となるのですが、実際は不可能なことも多いでしょう。
その場合はウイルスが飛んでも接触しないように、咳が飛ぶときはマスクをつけたり、嘔吐物などの処理にはゴム手袋などをつけて直接触れないようにすることが大切です。
感染している人がいるときはタオルの共有なども避けるようにしましょう。
夏風邪の予防その2:発症する前に体のウイルスを排除してしまう
ウイルスに接触する機会があっても、身体の免疫力がきちんとしていて、栄養や水分もしっかり摂取できているなら夏風邪のウイルスに負けることはないでしょう。
他にも手洗いやうがい、睡眠をきちんととるといった普段からの対策も何よりの夏風邪予防となります。
ウイルスを退治してくれるのは免疫力ですので、体力を保ちながら免疫力が十分発揮できる状態を持つことができれば、ウイルスが身体に入ってきても症状として出る前に自然となくなってくれるのです。
体の調子が悪いと思ったら、しっかりと栄養をとって早めに眠るようにすることも大切な予防策となります。
また、エアコンによる冷房の温度があまりにも低いと、外との気温の急激な変化によって体調を崩しやすくなります。
エアコンの温度は低すぎないように設定し、身体が冷えやすい場合は、足元や肩、お腹が冷えないように対策をしましょう。
食事から夏風邪を予防する
食生活で気をつけるべきは、偏った食事ではなくビタミンやミネラルを摂取することもきちんと意識しましょう。
野菜や果物、お肉や魚といったものをバランスよく食べることが大切です。
とくに旬の食べ物は栄養価も高いので、夏の野菜であればきゅうりやナス、果物なら桃やスイカといったものがオススメです。
ただ夏バテで食欲が無い場合は、食べたいものから食べていくのがいいでしょう。
メロンや桃、スイカといった食べ物は身体にスッと入ってきてくれるので、夏の疲れが出ている時にこそぜひ取り入れていただきたいです。
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大人の夏風邪について
夏風邪は子どもや高齢者がかかると思われがちですが、大人でも夏風邪にかかることはあります。
大人がかかる夏風邪は主にライノウイルスと呼ばれるウイルスにかかることが多く、夏バテや冷房、寝冷えが原因として引き起こされることが多いです。
夏バテによって食欲が落ちて免疫機能が低下し、冷房による外との気温差で身体が弱るようになります。
大人が夏風邪にかかると、以下の様な症状が出るようになります。
- 発熱
- 喉の痛み
- 下痢・腹痛
- 鼻水
- 頭痛
ライノウイルスにかかった場合は鼻水や、場合によっては熱が出ますが、咳や痰はあまり症状として現れないという特徴があります。
また、咳だけが一週間以上続いている場合は、先に紹介したような夏型過敏性肺炎や咳喘息にかかることもあります。
他に考えられるとするならば、以下の様な病気を疑いましょう。
細菌性肺炎
ひどくなれば気管支炎を起こし、肺まで病原菌が入り込んでしまう危険な状態に陥ります。
とくに日常的にタバコを吸う場合はかかりやすい病気とされているので注意が必要です。
マイコプラズマ肺炎
気道や呼吸器系に感染をし、大人がかかると肺炎にまで進行してしまう病気です。
咳と発熱が出て全身に倦怠感が見られ、潜伏期間が2~3週間と長いので、しばらくは気をつけていなければいけません。
夏風邪の症状まとめ
風邪は冬だけにかかるものではなく、夏にも夏風邪として流行ることがあります。
まずは感染する機会をできるだけ減らすこと、そして感染しても免疫力を普段から高めていることで、うかつにはウイルスに負けない身体を作ることが出来ます。
そのためには普段からの水分・栄養摂取や睡眠をしっかり取るなどを意識しましょう。
また夏風邪ではなくても、頭痛や吐き気がある場合は熱中症にも気をつけて欲しいと思います。
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冷房のかけすぎは、夏風邪であれ熱中症であれ、よい影響を及ぼしませんから、あまり低い温度に設定しないことも大切です。
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