テレビでも報道されて、牛乳が熱中症対策に効くということが認知されてきました。
どうやら運動後に飲むと良いとのことですが、一体どのような仕組みで牛乳が効果を与えてくれるのでしょうか?
今回は牛乳の熱中症に対する作用について詳しくまとめていきます。
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なぜ牛乳が熱中症対策にきくの?
熱中症とは、身体に熱がこもり、脱水症状を起こすことによって、体温調節がうまくいかなくなり引き起こされる症状を言います。
人間のからだは、暑さの厳しい環境であると汗をかくことによって体温を調節します。
人間の体は体温調節器官である皮膚などの毛細血管に血液をできるだけ行き渡らせ、体温を下げようとするので、ここに運ばれる血液の量が増えれば体温調節もしやすくなるのです。
牛乳に含まれている「アルブミン」というタンパク質には、浸透性によってこれらの血管の中に血液を引き込み、血液を増やす作用があります。
熱中症は外気の温度が高いために、本来ならば外に排出される熱がうまく放出されないことで、体温調節機能が狂ってしまい起こる症状なのです。
アルブミンを含む食品を摂取すると毛細血管の中の血液が増え、汗がかきやすくなり、皮膚から放出できる量も多くなります。
夏場には血管がくっきりと見えやすくなりますが、これは身体が熱を外に逃がそうとしているから起こるのです。
さらには、アルブミンを摂取すると熱中症による頭痛の予防にもなります。
人間のからだは暑くなると、体温を下げようとして、優先的に皮膚などの毛細血管に血液が運ばれるようになります。
すると脳に運ばれる血液が少なくなってしまうので、熱中症としての頭痛の症状が現れるようになるのです。
人間の身体は血液によって栄養や酸素を運びます。
アルブミンが血液の量を増やすことで、体全体に行き渡る血液が増えますので、頭痛も起こりにくくなるのです。
熱中症が原因で引き起こされる頭痛には薬が効かないので、ぜひ牛乳は飲んでみて欲しいですね。
⇒熱中症の頭痛や吐き気の症状に薬は効くの?翌日に続く状態になったら治し方はどうする?
牛乳を運動後に飲むと良い理由
運動をすると、筋肉に普段から貯蔵されている糖であるグリコーゲンという成分がエネルギー源として使われます。
グリコーゲンとは、血液中にあるグルコース(ブドウ糖のこと)が元になっており、このグルコースが蓄えやすい形に変化したものを指します。
筋肉の中のグリコーゲンが消費されると、不足した分のグルコースを取り入れようとして身体が活発に活動します。
インスリン感受性グルコース輸送体という物質が現れ、ブドウ糖を取り込もうとするのです。
運動をすると筋肉に損傷も起こるため、材料となるアミノ酸も必要になるのですが、牛乳には乳タンパクが含まれるのでアミノ酸もバランスよく入っているのです。
アルブミンはアミノ酸を原料として肝臓で作られ、ややきつい運動をすることで合成力が上がります。
なので熱中症予防に牛乳を飲むのは運動後が良いと言われているのです。
しかし、肝臓での運動後のアルブミンの合成能力が上がるのは30分から1時間くらいまでと言われています。
インスリン感受性グルコース輸送体は運動が終了すれば急速に減少するので、つまりは運動の直後に摂取するタンパク質は消化吸収がよいものを使うのが良いと言えるでしょう。
牛乳には、「理想のタンパク質」と呼ばれるホエイタンパク質が豊富に含まれており、このタンパク質は体内での吸収率が非常に良いため、運動後に飲むにはベストな飲み物なのです。
運動をしたすぐ後では、身体はグルコースやアミノ酸を取り込もうとする体勢が活発になっているので、すぐに牛乳を飲むことで、暑さに負けない身体を作ることができるのです。
もちろん年齢問わず有効な熱中症対策なので、運動を行ったらぜひ牛乳を飲んでほしいですね。
どんな運動方法がアルブミンを増やすのに効果的か
アルブミンを増やすためには、「やや暑い環境」で、「少しきついくらいの運動」を行うのがよいとされています。
できるなら、本格的な夏が訪れる前から運動を行い、暑さにそなえた体を作っておくといいですね。
<アルブミンを増やすための運動法>
- やや暑めの環境で、少しきついくらいの運動を行う。
- 3分位で息がはずみ、つらいと感じるくらいが目安(その人の最大体力の70%を超える運動)
- 息があがるのではなく、「はずむ」程度で、軽い会話ができるくらい。
- 1日15分~30分くらい
- 週に3~4日で合計60分くらい行うのが効果的
- 運動をしたら、30分以内に牛乳(200ml~300ml)を1~3杯飲むのがポイント
週に3~4日と書いてあるものの、毎日が無理なようなら、土日に30分ずつでもOKです。
言うなれば、週に合計で60分以上行うことが大切なので、一回に5分だけ行い、それを12回でも大丈夫です。
【!注意!】
- 1回で30分以上行っても効果は高くならないので、短時間を集中して行う
- 子供は汗腺が発達しきっていないため、発汗による体温調節が大人の3分の2程度しかできない。休憩を早めにとって牛乳を飲み、クールダウンをすること。
- 高齢者は少しきつめの運動を継続するのが難しいので、「早歩き」と「ゆっくり歩き」を3分間ずつ交互に行うインターバル速歩がおすすめ
どこかに行くときや、忙しい方でもできる運動なので、日差しが弱くなった朝や夕方などに行ってみましょう。
10日間続けると血液の水分が増えて体温調節の機能も上がると言われます。
運動を行うことで、数カ月後には筋力もアップして、熱中症に負けない身体が出来上がるでしょう。
きつめの運動が苦手なら、「インターバル速歩」がおすすめ
インターバル速歩とは、3分間「ややきつい」と感じるくらいの速さで歩き、次は3分間ゆっくりと歩くのを繰り返す方法です。
一日5セット(合計30分)を週4日以上、2ヶ月行う運動方法で、速歩が15分あるのがポイント。
【ゆっくり歩き3分→速歩3分→ゆっくり歩き3分→速歩3分→ゆっくり歩き3分→速歩3分…(繰り返し)】
一度に5セット行ってもいいですし、1セットを一日5回に分けても大丈夫です。
高齢者に限らず、体力がない人でも継続しやすい運動方法です。
ただ、一日で合計30分行うので、少し時間がとりにくいかな?と思うこともあるでしょう。
その場合は、先に紹介したような少しきつめの運動を、一週間で合計60分になるように行うといったやり方でもOKです。
牛乳の効果を活かすために大切なのは「ややきつめの運動を行うこと」なので、ご自身のスタイルに合わせた運動を行いましょう。
ただ普段運動に慣れていない場合、急に運動ではりきろうとすると予期せず熱中症にかかってしまいます。
その場合はあくまで少しずつ身体を慣らしていくようにしましょう。
※どうしても、きつめの運動が続かない場合は朝や夕方に30分程度のウォーキングを行ってみましょう。
運動が終わったら、しっかり牛乳を飲むのがポイントです。
牛乳以外で代用できる食品
牛乳を飲むのが苦手なら、ホエイタンパクや糖質を含む乳製品であれば吸収も早いため代用可能です。
ただ運動の後は汗をかきますから、乳製品といっしょに水分も一緒にとりましょう。
<アルブミンを含む食品>
- ヨーグルト
- チーズ
- 飲むヨーグルトなど
とくに飲むヨーグルトは、運動後にスッと飲めるのでオススメです。
塩分の補給もしっかり行い、きちんと休憩を取り、身体の温度を下げることも怠らないようにしましょう。
汗をかくと血液量が減り、心臓に血液が戻らなくなって脳や皮膚などに十分な血液量が回らなくなります。
そのせいで体温調節の機能がうまく働かず、熱中症が起こりますので、牛乳やヨーグルトの摂取で血液量を増やし、熱中症に強い体を作りたいですね。
筋肉が増加すると免疫力も上がる
運動が終了した直後は、体の中のタンパク質合成能力が高くなっているので、このタイミングに牛乳を摂取することで筋肉を効率的にアップさせることが出来ます。
運動が終わったら30分以内がゴールデンタイムなので、できるだけこの時間のうちに飲むようにしましょう。
牛乳は吸収の早いタンパク質を含む上、BCAAと呼ばれるバリン、ロイシン、イソロイシンの3つのアミノ酸を多く含み、これらのアミノ酸は筋肉の合成を効率的に行うため、かかすことのできない成分です。
筋力が増えると腰や膝の痛みの改善につながる上、基礎代謝アップによって脂肪がつきにくくなり、太りにくくなります。
肥満が引き起こす生活習慣病の予防にもなりますね。
汗もきちんとかける体になり、免疫力も上がりますので風邪をひきにくくなって、体調不良を起こしにくくなるのです。
夏場は特に、ガンガンと冷房をかけているところも多く、外気の気温との温度差で汗腺の機能が鈍り汗が出なくなります。
熱が身体にこもり、熱中症にかかりやすくなりますので、運動を行って牛乳を飲み、筋力をアップさせるのは非常にオススメです。
また、血液にカルシウムが不足すると、骨からカルシウムが補われます。
すると骨が弱くなってしまう上に、血管が収縮する原因となり高血圧を引き起こすことがあります。
こういった症状はカルシウムをとり、食事をバランスよく摂ることで防ぐことが出来ますので、牛乳は積極的にとっていきたい食品と言えるでしょう。
水分補給に使うスポーツドリンクについて
夏場には、水分の他にも塩分を一緒に摂取することが必須となります。
水分をとっていてもナトリウムを摂取しなければ熱痙攣(熱中症のひとつ)と呼ばれる症状を引き起こすことがあります。
運動をすれば水分とともに電解質(塩分)も失われるので、低ナトリウム血症となり、身体に不調が現れる原因となります。
<熱痙攣>
- ナトリウムは筋肉の収縮や弛緩の働きを正常にする役割があるため、不足することで手足や腹部にけいれんが起こる症状。
- 筋肉痛やこむら返り、手足をつったり顔色が悪くなるといった症状が出る。
水だけ飲んでいても、身体には体内の塩分濃度を一定に保とうとする機能があるため、余分な水は尿として排泄されてしまい、逆に脱水が進むようになってしまいます。
なので塩分の含まれたドリンクが必要になるのですが、その内の一つにスポーツドリンクがあります。
ポカリスエットやアクエリアスといったスポーツドリンクは、アイソトニック飲料と呼ばれ、水分と一緒に塩分も含まれるので、夏場の水分補給には良いといえます。
しかし糖分がいっしょに含まれていることに注意です。
糖分が入っていると塩分の吸収を早くしてくれるのですが、砂糖のとり過ぎは糖尿病のリスクもあるということを知っておかなければいけません。
また、熱中症対策にはとくに経口補水液がベストと言われます。
適切な水分補給については以下の記事でも詳しく紹介しているので、興味があったらご覧下さいね。
⇒熱中症の頭痛や吐き気の症状に薬は効くの?翌日に続く状態になったら治し方はどうする?
スポーツドリンクのアイソトニック飲料とハイポトニック飲料
<アイソトニック飲料>
「アイソトニック」とは「等張性」という意味をもち、人間の体液や血液と浸透圧が同じになるように調整された飲み物のことです。
ポカリスエットやアクエリアス、ゲーターレードが分類され、特徴としては糖分が6~8%といった量が含まれていることです。
つまり甘くておいしいスポーツドリンクは基本的にアイソトニック飲料に分類されます。
この濃度は日常において、普通に生活しているときであれば身体の浸透圧と同じなので、基本的にある程度なら飲んでも問題がなく、エネルギー補給にはなります。
しかし運動中は浸透圧が低下するため、浸透圧の高いアイソトニック飲料は吸収されにくく、身体に負担がかかるのです。
運動中にアイソトニック飲料を飲むと、からだに急速に糖分が吸収されてインスリンショック(砂糖を一度に多量に摂取することで、インスリンが大量に分泌され、血中の糖分濃度が下がること)を引き起こしますので、アイソトニック飲料は運動中に飲むことには向かないドリンクなのです。
インスリンは血糖値が上がることで分泌され、本来であれば血液の中の糖分の量を一定に保つ物質です。
しかし、糖分を一気に摂取すると血糖値も急激に上がりますから、大量のインスリンが分泌されて糖をおさえようとし、糖分濃度が下がり低血糖の状態となるのです。
これがインスリンショックと呼ばれ、脳細胞は糖のみをエネルギーとしますから、足りなくなるとめまいなどの症状を引き起こすようになります。
<ハイポトニック飲料>
「ハイポトニック」とは「低張」という意味で、人間の体液や血液よりも浸透圧が低くなるように調整されている飲み物のことです。
スーパーH2Oやアミノバイタル、ヴァームウォーターが分類され、ポカリスエットなどのアイソトニック飲料と比べると糖度が低いドリンクとなっています。
主にスポーツを行う人が飲むためのドリンクです。
浸透圧が2.5%から3%前後に調整されており、理由としては運動中の人間の身体は2%から3%まで浸透圧が低下するからです。
運動をすると汗をかきますから、ナトリウム(塩分)が体の外に排出されます。
ナトリウムには細胞の浸透圧を調整する役割があるので、身体からナトリウムが少なくなることで浸透圧が低くなってしまうのです。
人間のからだは、取り入れる飲み物が体液との浸透圧と同じであればあるほど、すばやくエネルギーとして補給できるようになっているので、運動中はハイポトニック飲料を飲むことが効果的と言えます。
<アイソトニック飲料とハイポトニック飲料のまとめ>
まとめてしまえば、
- アイソトニック飲料…普段過ごしている人間の体液と同じ浸透圧。ただ糖分が多いので飲み過ぎには注意。運動時に飲むと低血糖になり、めまいなどを起こす可能性がある。
- ハイポトニック飲料…運動をしている人間の体液と同じ浸透圧。糖分が少なめになっている。運動中に飲むのがオススメ。
スポーツドリンクは、浸透圧が人間の体液と同じであると吸収がされやすい特性があるのです。
運動中にアイソトニック飲料を飲みたい場合は、糖分の濃度をハイポトニックと同じにすればいいので、だいたい2~3倍に薄めればOKです。
運動をする人がスポーツドリンクを薄めて飲むのは浸透圧が理由にあるのです。
【自作ハイポトニック飲料】
- 水1リットル、塩小さじ1、砂糖大さじ4を入れて混ぜる。
- 任意の量で作りたいときは、水に対し、塩は0.1~0.2%、砂糖は2.5~3%を入れると良い。
- レモンやグレープフルーツを絞って加えると疲労回復ができるクエン酸、紫外線に強くなるビタミンCを摂取できる
※自作の物は、悪くなりやすいのでその日のうちに飲み切るようにしましょう。
ペットボトル症候群とは
スポーツドリンクや清涼飲料水をを飲み過ぎることで起こる急性の糖尿病をペットボトル症候群と呼びます。
主に夏場の暑い時、清涼飲料水などのペットボトルの甘い飲み物を水分補給として飲み過ぎることからこの名前がつけられました。
糖分摂取が過剰になり、吐き気や頭痛、喉の渇きなどの症状が現れます。
糖分の量が5%のスポーツドリンクを一日1リットル飲むと、角砂糖12個分(50g)の砂糖を摂取することになります。
人間が一日で摂取する糖分の量の目安は20~40gと言われているので、スポーツドリンク1リットルで上回ってしまいます。
スポーツドリンクには塩分が含まれているとはいえ、砂糖のとり過ぎには注意して飲むようにしましょう。
甘いスポーツドリンクは500mlで100kcalを超え、消費するためにはジョギングを20分以上する必要がありますから、肥満へつながる量を摂らないことがポイントです。
なお、適切な水分はこまめに飲むようにしましょう。
「のどの渇き」を感じる時にはすでに脱水症状の初期状態に陥っています。
また、冷えすぎた水分ばかりを飲んでいても、胃腸を冷やして体調不良を起こすこともあります。
あまりにも身体が熱くなっているときは別ですが、通常であれば常温水の5~15度くらいの水分をとるのがオススメです。
なお、カフェインには利尿作用があり、熱中症予防の水分補給には向きません。
詳しくは以下の項をご覧ください。
夏にかく汗の量について…汗の元は血液
汗を1Lかいたとすると、血液からは100mlの水分が失われます。
一日にかく汗の量は人によっても変わってきますが、平均温度が30度くらいのところで、体重が65kgの人が室内でかく汗の量は一日3L前後と言われています。
外に出れば一時間に500ml前後の汗を消費しますから、水分補給がどれだけ大事かわかります。
汗は血液中の水分が汗腺から出て、分泌されています。
血液に含まれる物質や成分はほとんど含まれず、ほぼ単なる水と塩分のみで汗はできているのです。
つまり、大量の汗をかくことで血液中の水分がどんどんと少なくなり、ドロドロの血液になっていくのです。
もちろん汗をかいたら水分だけではなく、塩分も補給しなければいけません。
スポーツドリンクの飲み過ぎは糖分過多になるので注意ですが、こまめな塩分・水分の摂取を心がけましょう。
血液の役割
血液は体のすみずみまで酸素や栄養を運び、老廃物を取り除く役割をします。
体内に溜まった余分な熱を皮膚の近くまで運び、体温を一定に保つ役割をし、心臓はこの血液を送り出すポンプの働きをします。
血液は、身体に必要な材料や、身体でうまれた不要なゴミを運んでいる水です。
体に必要なあらゆる物質を運搬するために血液は存在しますが、この血液の量が少なくなれば酸素や栄養が行き渡らなくなり、体温調節ができなくなって熱中症になります。
熱中症による頭痛の原因も、脳に運搬される血液や栄養が少なくなることで起こりますから、血液の量を正常に保つのは非常に大切なことなのです。
アルブミンについて
アルブミンは血液中のタンパク質の約67%を占めるタンパク質で、肝細胞でのみ作られ、体液の濃度を調整する役割を持ちます。
タンパク質は100種類以上あると言われますが、アルブミンは最も量が多く、血液中の様々な物質を運ぶ働きもあります。
分子量が大きく、栄養を補給することによってアルブミンの濃度が高まると、血管に水分が引きこまれて体温調節がしやすくなり、暑さに負けない身体を作ることができるのです。
体調が悪い時は無理して運動しない
熱中症の発生には、普段の疲れや寝不足、栄養の摂取状況などの体の調子が大きく影響します。
疲れがたまっていたり、風邪や熱があったりするときは体温調節をする機能も低下して、熱中症にもかかりやすくなります。
とくに脱水が起こりやすい状態の時(下痢の時や食欲不振など)は暑い中の運動を控え、安静にして身体を治すことを優先しましょう。
運動をするのなら、終わった後は熱がこもっている状態になりますので、体温を下げるために、首筋にアイスパックやタオルを巻いた保冷剤を当てるなどの工夫をしましょう。
冷房をかける時は、汗ばんだ服のままでは風邪を引きやすくなりますので、きちんと着替えてから身体を休めます。
疲労や身体の不調を翌日に残さないよう休息をとり、栄養や水分の補給を行うことが何よりの熱中症予防になります。
暑熱順化(しょねつじゅんか)について
暑熱順化(しょねつじゅんか)は夏の暑さに耐えられる体になることを指し、身体は暑さに順化することで汗腺の働きが良くなります。
すると汗とともに出るナトリウムの量が少なくなり、体液のバランスが崩れにくくなるのです。
昔は梅雨の間の暑さになれることで身体が自然と順化しました。
しかし現在では冷房のある環境が増えたため、暑さに慣れないまま真夏日が続く日々が訪れ、熱中症にかかるリスクも高くなったのです。
なので、梅雨のうちから少しずつ身体を慣らすことで、暑さに負けない身体を作りやすくなります。
暑熱順化の利点
暑熱順化することで、身体が体温の上昇を察知して汗をかくのが早くなります。
すると発汗した後の水分補給で体液の量を回復しやすい体となり、非常に体温調節がしやすくなるのです。
できるなら本格的な夏が到来する前(梅雨時)に行うことで、いざ猛暑が襲ってきても簡単には熱中症にならない体になります。
<暑熱順化の方法>
- 浴槽につかり、半身浴などでじっくりと汗をかく(サウナでもOK)
- ウォーキングなどの軽い運動で汗をかく
- 自転車をこいで汗をかく
半身浴だけでも効果はありますが、運動強度を上げる事でさらに暑熱順化のスピードは早くなります。
ポイントは、身体を暑さに慣らすことにあるので、まだ気温が高くなりきっていない時期から身体を外気にさらすようにしましょう。
もちろん、自転車まで行わなくてもウォーキングを毎日行うだけでもOKです。
一週間くらいで身体は慣れますが、途中でやめてしまうと効果がなくなってくるので、きちんと外に出て夏の気温に順応できる身体を作りましょう。
もちろん先に紹介したような、ややきつめの運動を外で毎日行っても、自然と身体は暑熱順化していきます。
そしてぜひ運動後は牛乳を飲んで、血液を増やし、熱中症に強い体を作りましょう。
熱中症対策には食べ物から栄養を摂ることも大切
水分や塩分はもちろんのこと、普段からきちんとバランスよく食事をすることも熱中症対策になります。
とくに取り入れたい栄養素を紹介します。
<カリウム>
カリウムは細胞の中の水分を保つために必要になるミネラルです。
不足すると細胞の脱水症状や臓器の機能障害が起こる可能性がありますので、非常に重要なミネラルと言えます。
カリウムが多く含まれる食品には以下の様なものがあります。
- アボカド
- バナナ
- モロヘイヤ
- 納豆
- メロン
- キウイ
- たけのこ
- じゃがいも
- ひじき
- のり
- もも
- スイカ
カリウムは果物にもたくさん含まれるので、食欲が起こりにくい夏場でも摂取がしやすい栄養素と言えます。
スイカや桃、メロンなど、ぺろりと食べれるものも多いので、積極的に取り入れてみましょう。
<ビタミンB1>
ビタミンB1には、疲労の原因物質である乳酸やピルビン酸を分解する作用がありますので、疲れがたまりやすい夏場には必要です。
また、糖質の代謝にも関与しますので、スポーツドリンクやアイスなどで糖をたくさんとってしまった場合は、比例してビタミンB1も必要になります。
- 豚肉(ヒレ、もも、ロース、肩ロース、ばら、レバーなど豚肉全般)
- たらこ
- いくら
- カツオ
- 明太子
- うなぎ
とくに豚肉が多く含まれます。
おかずとして活用したい食品が多いので、毎日ご飯を食べるようにしましょう。
<クエン酸>
疲労回復効果があることでよく知られているのがクエン酸です。
かんきつ類などの酸味の成分で、摂取することで疲労を取り除いてくれるので運動後に食べるのもオススメです。
- レモン
- ライム
- 梅干し
- 酢
- グレープフルーツ
- キウイ
- オレンジ
- ミカン
- パイナップル
ほとんどが果物で、すっきりとした食べ物が多いですから、暑い夏にも食べやすいのではないでしょうか?
また、クエン酸はビタミンB群やビタミンB2(納豆やうなぎ、卵に多い)と一緒に摂ると、疲労回復への相乗効果が期待できるので、ぜひ合わせて食べてみましょう。
レモンやキウイにはビタミンCも含まれているので、紫外線にも強くなる効果があります。
<牛乳の栄養素>
牛乳は栄養価に優れ、エネルギーを生み出すタンパク質、脂質、糖質をバランスよく含み、さらにはミネラルやビタミンも入っています。
栄養補給にも適した飲み物ですので、ぜひ取り入れて行きましょう。
ただし牛乳は脂肪分が多いので、飲み過ぎると肥満のもとになったりします。
適量摂取を心がけるのが大切ですが、多めに飲みたいなら低脂肪乳などを購入する手段もあります。
熱中症対策のための食事の工夫
夏場はとくに麺類や焼き肉といったものを食べる機会が多いと思います。
<うどんやそうめん、そばなどでの工夫>
- 「麺だけ」で終わりにせず、シソやネギなどの薬味をたっぷり入れる
- 豚肉やカツオなどのタンパク質もしっかりと摂る。冷や奴もオススメ。
- できればクエン酸を補給できる梅干しなどを一緒に食べる
デザートにスイカや桃を食べても美味しいですね。
夏場の麺類は冷やし中華がオススメです。
トマトやきゅうり、卵などをトッピングすることができるので、比較的バランスの良い麺類なのです。
タンパク質が足りないと思ったら、少し卵を多めに入れてもいいですね。
<焼き肉での工夫>
- 肉ばかりではタンパク質や脂質がオーバーするので、夏野菜のトマトやオクラなどのサラダを食べる
- なすやピーマンを一緒に焼いて、ミネラルやビタミンを補給する
- 夏野菜のおひたし(モロヘイヤやツルムラサキなど)をプラスするのもオススメ
もちろん任意でお野菜をもっと足してもいいでしょう。
トマトと玉ねぎをオリーブオイルで和えたサラダは、すっきりとして身体にもいいので、オススメです。
熱中症対策グッズを使って効果的に防ぐ
熱中症は身体に熱がこもることで、体温調節が上手くいかなくなり引き起こされます。
なので、外に出たときに出来るだけ身体の中に熱がたまらない工夫をすることが有効です。
ここでは、熱中症対策に使えるグッズを紹介していきます。
クールコアタオル
このタオルのいいところは、水に濡らして絞り、首に巻くだけで簡単に冷やすことができる手軽なところにあります。
お店でもらえるような、保冷剤をタオルに包んで首にまくだけでも冷やすことができるのですが、氷や保冷剤は一度溶けてしまうと取り替えなければならなかったり、再度凍らせなければならない手間があります。
しかし、これなら外出時でも繰り返し使うことができる上、冷やしたいときは水にしっかり濡らして絞ればOKです。
あとは首にかければいいので、簡単に体温を下げることができます。
水分の蒸発を利用して身体を冷やす、気化熱を利用しているので、いつでもどこでも、水さえあれば簡単に首筋を冷やすことができるので、キャンプやガーデニングなどのアウトドアでもオススメです。
服の上から身体を冷やすスプレー
こちらは衣服に吹きかけることで、一気に冷却効果を与えてくれる便利なスプレーです。
服によっては効かないこともあるので注意も必要ですが、風通しの良い服を着てスプレーをかければ一気に涼しくなり、体温をスッと下げることが出来ます。
炎天下での作業や夏山でのアウトドアなど、熱中症になるのが心配なお出かけ時にも、ぜひ利用していただきたいスプレーです。
※メントールが入っているので、匂いが苦手な場合は注意です。
紫外線99%カットの日傘
紫外線は日焼けにもつながる上、肌の調子にも影響しますから、日傘はぜひひとつは持っておきたいアイテムと言えます。
日傘があれば、日陰がないときでも紫外線をさけることができるので大変便利です。
とくに大きめのものであれば、雨が降った時でも普通の傘として代用して使うこともできますので、持ち歩くと一石二鳥です。
傘はデザインに好みがあると思いますので、こちらから(Amazon)見てみてください。
熱中症はどんなときにかかりやすい?
熱中症は、気温に大幅な変化が現れる5月上旬(連休明け)から起こり出します。
流行りだすのはやはり梅雨時から7月~8月にかけてですが、とくに日差しが強かったり、気温が高かったりすると熱中症にかかるリスクが高まります。
- 気温が高い
- 湿度が高い
- 風通しが悪い
- 日差しが強い
- 日差しの照り返しが強い(アスファルトなど)
- 気温が急激に変化し、急に暑くなった
とくに梅雨時は気温の変化も起こりやすく、一気に暑くなったりします。
湿度も高いので最も注意したい時期と言えるでしょう。
もちろん7月や8月の猛暑は気を配るべきですから、対策はきっちり行いましょう。
熱中症に対する牛乳の効果まとめ
血液は身体のすみずみまで酸素を運ぶのと同時に、栄養を運び体温を調節する役割をになっています。
汗を大量にかくと血液の量が減り、体温調節がうまくできなくなって熱中症になってしまいますので、牛乳を飲んで血液の量を増やすのは非常にオススメです。
夏場でも涼しい朝や夕方に少しきつめの運動を行い、終わったらすぐに牛乳を飲んでみましょう。
きちんと汗をかける身体になることで、身体にこもった熱を上手に排出できるようになります。
もし熱中症で頭痛や吐き気が起こってしまったら、薬はあまり効きませんので、きちんと水分をとってから体温を冷やすようにし、安静にしましょうね。
熱中症の頭痛や吐き気の症状に薬は効くの?翌日に続く状態になったら治し方はどうする?
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