夏風邪がかかると長引く原因を詳しく知っている人は案外少ないのではないでしょうか?
夏風邪はウイルスが原因となって引き起こすので、治す方法をきちんと知っておくことが大切です。
今回この記事では、夏風邪を効果的に早く治す食べ物や習慣を紹介していきます。
記事内容(項目をクリックすると飛べます)
夏風邪が治りにくい理由は?
冬の風邪と比べて、長引きやすいと言われている夏風邪ですが、夏風邪のほとんどは「アデノウイルス」や「エンテロウイルス」、「コクサッキーウイルス」といった種類のウイルスに感染することで引き起こされます。
ひとつは冬のインフルエンザのウイルスのように、夏風邪として流行するウイルスには特効薬がなく、細菌をやっつけてくれるような抗生物質も存在しません。
回復のためには、高熱や咳といった症状を対処療法で緩和させながら、免疫力を高めて身体の外へ排出されるのを待つしか方法がないのです。
もうひとつは、夏風邪のウイルスは、ほとんどの種類がお腹の中で増えるため、身体の外へ排出されるのが冬に流行するウイルスよりも遅いのです。
夏場は暑さによって、夏バテになったり、食欲不振を起こしたり、寝不足などで疲労が溜まって体力の低下を引き起こしやすい季節です。
身体の抵抗力が下がると、ウイルスは免疫力が落ちた身体に感染がしやすいため、体力が低下していることでウイルスの排出が遅れてしまうのです。
夏風邪と冬風邪の違い
冬に流行するウイルスには「インフルエンザウイルス」、「コロナウイルス」、「ライノウイルス」などがあり、寒くて乾燥した環境を好むウイルスが原因となって風邪を引き起こします。
冬風邪では、咳や鼻づまり、のどの痛みや発熱といった症状が見られます。
一方、夏に流行するウイルスは、高温多湿の熱くて湿度の高い環境を好み、呼吸器に限らず腸内でも増殖するという特徴をもちます。
主に流行するのは、アデノウイルスやエンテロウイルス、コクサッキーウイルスなど、喉や腸にくるタイプのウイルスが流行ります。
各ウイルスの特徴については以下の記事からどうぞ。
⇒夏風邪の症状と特徴について!大人と子供の高熱や鼻水、頭痛、咳など
なので夏風邪で見られる症状には、発熱やのどの痛みなどのほか、下痢や腹痛などのお腹の不調も現れるのが特徴です。
子供が感染しやすいと言われる手足口病やプール熱、ヘルパンギーナもこれらのウイルスが原因で引き起こされます。
⇒夏風邪の治し方!喉の痛みや咳、鼻水の原因はクーラー!?子供や幼児の場合は?寝る時の工夫
夏風邪において、体内に侵入したウイルスは便と一緒に外へ排出されますが、腸に感染してしまったウイルスを全て排出し切るにはだいたい1ヶ月くらい必要になると言われています。
なので、一見症状が収まったように見えても、身体の免疫力が落ちたり、栄養不足が続いたりすると症状が再発したりするのです。
ウイルスが含まれている便は、感染してからひと月の間は出続けますので、その便が感染源となってウイルスが広がってしまうという結果を招くこともあります。
なお、ライノウイルスによる風邪は一年中見られ、夏に大人がかかることもあります。
ライノウイルスは「鼻風邪ウイルス」とも呼ばれ、感染すると鼻づまりや鼻水、くしゃみ、頭痛、喉の痛みといった症状を伴います。
クーラーが効いていて気温が低く、乾燥したところを好みます。
夏風邪の特徴
夏風邪は喉の痛みや違和感から症状が出始め、次に倦怠感や寒気、その後に下痢、嘔吐、発熱といった症状につながっていきます。
夏風邪によって炎症が起こるのは、体内からウイルスを排出しようとして起こる現象なのです。
夏風邪は微熱や咳が長引きやすいですが、これは夏場に取り巻くクーラーや外の温度との気温差が一番強く影響します。
うだるような暑さの場所と、足元も冷えるようなクーラーの効いた涼しい場所、この2つの温度差の強い環境を出入りすることで、ウイルスを排除することが効率よく行えない場合が多いのです。
環境が大きく変化することで、汗をかいたり、心臓を動かすといった役割のある自律神経の働きが乱れやすくなります。
自律神経の働きが悪くなると、ウイルスなどの外敵から守る身体の抵抗力や免疫力の低下につながり、入り込んだウイルスをなかなか排除できずに長引く結果となるのです。
また、ウイルスを排除したとしても、免疫力が低下していると新たに感染してしまうので、症状が収まったと思ってもぶり返す原因となります。
夏風邪の症状が現れると、和らげるために薬を服用するかと思いますが、長期で薬を飲み続けると、耐性が出来てしまい効き目が弱くなります。
夏風邪が長引くのは、こういったことも原因として考えられているのです。
夏風邪の予防について
夏風邪には特別効く薬というのが存在しませんので、普段から免疫力を高めておくのが何よりの予防になります。
もし夏風邪のウイルスに感染してしまった場合は、疲労をとりのぞくために安静にして休むことと、発熱や下痢などで身体の水分が失われやすいので、水分補給もしっかりと行うことが大切です。
また、予防法や治し方については、以下の記事でも症状別で詳しく紹介しているので、興味があればご覧ください。
⇒夏風邪の治し方!喉の痛みや咳、鼻水の原因はクーラー!?子供や幼児の場合は?寝る時の工夫
のどの痛みが酷くて、水分補給が上手くできなければ、点滴を受ける必要もあります。
栄養で夏風邪を早く治す方法
夏風邪を治すために、食事から治していくのも一つの方法です。
夏は暑さによって身体のエネルギーが体温調節に使われるために、胃液の分泌量が減って食欲がなくなります。
すると食事をきちんと行わなくなるために、体の免疫が落ちて夏風邪にかかりやすくなるのです。
なので、夏の間でも、少しずつでも良いので、食べ物を摂取することを意識しましょう。
食事では主にビタミンB1やビタミンB2、ビタミンCやクエン酸などを摂取することをお勧めします。
以下より、夏風邪に効く栄養について詳しくまとめていきます。
ビタミンB1
ビタミンB1は、糖質を分解してエネルギーに変換する働きがあり、疲労感やからだのだるさ(倦怠感)を取り除く作用があります。
そのため「疲労回復のビタミン」とも呼ばれており、暑さで疲れがたまりやすい夏にはぜひ摂取して欲しい成分と言えます。
<ビタミンB1が多く含まれる食べ物>
- 豚肉(もも、ヒレ、バラ、ロースなど)
- ベーコン、生ハム、ロースハム
- 玄米
- うなぎ
- レバー
- 豆腐
- 牛乳
- たらこ
- するめ
- いくら
ビタミンB2
ビタミンB2にはビタミンB1の働きを助ける作用があるため、ビタミンB1と一緒に摂取したい栄養素と言えます。
ビタミンB2自体では、皮膚や粘膜の健康を維持する働きを助けるビタミンで、腸にウイルスが侵入する夏風邪には必要な成分です。
タンパク質を体内でエネルギーにする働きもあります。
<ビタミンB2が多く含まれる食品>
- 納豆
- 卵
- レバー
- うなぎ
- いくら
- モロヘイヤ
- しそ
- アスパラ
- たらこ
- アーモンド
- 牛乳
- ぶり
- 鯖
ビタミンC
ビタミンCは身体の免疫力を高めてくれる効果があるので、夏風邪にかかった後でも摂取して欲しい成分です。
ほかにも紫外線によるメラニンの生成を抑えてコラーゲンの生成を促してくれるので、夏の強い紫外線を浴びるときにも必要になる栄養素です。
夏場には、暑さでイライラすることもありますが、原因はストレスや紫外線によってビタミンCが多く使われて、不足してしまっているのが原因です。
<ビタミンCが多く含まれる食品>
- 赤・黄パプリカ
- ピーマン
- モロヘイヤ
- キウイ
- ししとう
- 柿
- ブロッコリー
- こまつな
- ミニトマト
- オレンジ・グレープフルーツ・ライム・レモン
- じゃがいも、さつまいも
ビタミンA
ビタミンAには目や皮膚のほか、胃や気管支などの身体全体の粘膜を健康に保つ働きがあります。
ビタミンAの不足によって粘膜の状態が悪くなると、ウイルスの感染に弱くなり夏風邪を引きやすくなってしまいます。
そのため、腸にウイルスが侵入する夏風邪にはかかせないビタミンと言えるのです。
<ビタミンAを多く含む食品>
- レバー
- うなぎ
- にんじん
- モロヘイヤ、ほうれんそう、小松菜
- かぼちゃ
- 卵
- にら
- しそ、パセリ
- あなご
- ぎんだら
ビタミンAには種類があり、野菜や果物に含まれるβカロテンには、必要な分だけ体内でビタミンAに変換される特徴があります。
(これをプロビタミンAと呼びます。)
ビタミンAは通常、脂溶性でとりすぎた分が蓄積されてしまうのですが、βカロテンの場合は不要な分は体の外へ排出されるのです。
逆に肉や魚に含まれるビタミンA(レチノール)は、摂取した分だけ身体に蓄積されるので、とりすぎには注意が必要です。
クエン酸
クエン酸は疲労物質である乳酸を減少させる働きがあります。
かんきつ類や梅干しなどに多く含まれる酸味の成分で、新陳代謝を活発にして身体のエネルギーを効率よく燃焼させます。
<クエン酸が多く含まれる食品>
- グレープフルーツ
- オレンジ
- レモン
- キウイフルーツ
- パイナップル
- 梅干し
- ライム
- みかん、いちご
また、クエン酸には肉のとりすぎによって、疲労の元となるピルビン酸が増えてしまった時、この成分をクエン酸に変えてエネルギーにする働きがあります。
マグネシウム
マグネシウムはビタミンB1の吸収を高める作用があり、エネルギー代謝に関わる働きがあります。
マグネシウムは大豆食品に多く含まれる傾向があり、足りなくなるとエネルギーが足りなくなって夏バテにかかりやすくなります。
汗によって失われますので、夏場には意識して摂取したい成分と言えるでしょう。
<マグネシウムが多く含まれる食品>
- 大豆
- 納豆、豆乳、豆腐
- 油揚げ
- 枝豆
- あさり、はまぐり、ホタテ
- いくら
- バナナ
- アボカド
- オクラ
- モロヘイヤ
- ごぼう
- アーモンド、くるみ、カシューナッツ
硫化アリル
硫化アリルはアリシンとも呼ばれます。
玉ねぎやにんにくに含まれている匂いの成分のもとで、風邪の症状の改善に役立ちます。
ビタミンB1の吸収を高めるとともに、疲労回復への効果、切って置くだけで匂いで咳を和らげる効果があると言われています。
抗菌や殺菌作用があり、冬場であればインフルエンザウイルスにも対抗することができるとも言われる成分です。
<硫化アリルが多く含まれる食品>
- たまねぎ
- 長ネギ
- にんにく
- にら
- らっきょう
- ネギ類(あさつきなど)
タンパク質
タンパク質は身体を構成している成分で、免疫が夏風邪と戦うための多くの酵素は、身体の中で作り出されるタンパク質をもとにして作られています。
タンパク質は新陳代謝を高めて体温を上げてくれます。
人間の身体は体温が1度上がると、免疫力が5~6倍になると言われています。
しかし、タンパク質を含む食品には油分の割合が高い食品も多いです。
夏風邪の時は消化をよくしたものを食べるのがポイントなので、油脂をさけて、噛んだり飲み込んだりしやすいよう、食材はやわらかく、食べやすいサイズに切って調理するようにしましょう。
お肉やお魚には全体的に入っていますが、油分が少ないお勧めの食品は、ささみや豆腐、白身魚、皮なしの鶏肉、卵、油が入っていないツナ缶です。
<タンパク質を多く含む食品>
- 鶏肉(もも、むね肉:皮がついていないもの)
- 鶏ささみ
- 白身魚
- 卵
- 豆腐、納豆などの大豆食品
- ノンオイルツナ缶
- 肉、魚(脂身が少ないものがおすすめ)
- 生ハム、ハム
飲み物として摂取するなら豆乳や牛乳もオススメです。
とくに牛乳は運動後に飲むと熱中症対策に効くとされていて、夏風邪の予防にも摂取して欲しい食品と言えます。
夏風邪をひいているときに牛乳を飲むなら、温めて飲むのが良いでしょう。
生ハムなどはおかゆやリゾットにする方法もあります。
ただ、加工食品は添加物を多く含む食品が多いので、心配な場合は卵でおかゆを作るのが手軽です。
鶏肉や鶏ささみは、調理法にもよりますが、食べやすく消化に良い料理をつくるならミンチが使いやすいかもしれません。
挽き肉であれば、そぼろ風にしてスープにするのもオススメです。生姜も入れるとなお良いでしょう。
ミネラル
ミネラルは先に紹介したようなマグネシウムの他に、ナトリウムやカルシウム、カリウムなどの成分があります。
暑い夏の間は、汗をかくことでこれらの成分が排出されてしまいますから、不足によってめまいや立ちくらみの原因となることもあります。
とくに水分ばかり補給して塩分をとらないと、熱中症にもなりやすくなりますので、意識してとることが大切です。
<ナトリウムを多く含む食品>
- 梅干し
- 漬物
- 塩飴
- ドレッシング、しょうゆ、みそ
- たらこ、めんたいこ など
ナトリウムの場合、スポーツドリンクから摂取すると、糖分が一緒なので吸収率が高まります。
<カルシウムを多く含む食品>
- チーズ
- しそ
- 牛乳
- こまつな、モロヘイヤ
- わかさぎ、しらす、めざし、いわし
- 豆腐、納豆 など
<カリウム>
- 納豆、えだまめ
- 里芋
- にんにく
- モロヘイヤ
- バナナ、メロン、キウイ、アボカド
- かぼちゃ、ミニトマト、たけのこ など
夏風邪にオススメの食べ物
あまり食欲が無い時は、無理して食べる必要はありませんが、余裕があるときはここで紹介するような食品を取り入れてみましょう。
とくに喉が腫れているときは「辛いもの」「熱いもの」などの刺激物を食べないようにします。
ただ、食欲不振の時でも水分だけはしっかり取るようにしてくださいね。
レバー
タンパク質を多く含み、ビタミンB1やビタミンB2、ビタミンC、豊富なミネラルも含みます。
レバーを摂取していれば、ほとんどのビタミンやミネラルを摂ることができるので、とても優れた食品です。
ただ、栄養価に富むだけに、食べるのを習慣にしてしまうとビタミンAのとりすぎとなるので、毎日ではなくときどき摂取することを勧めます。
夏風邪をひいたときならビタミンAは傷んだ粘膜を修復するのに役立ってくれるので、油脂の少ない鶏や牛のレバーをお勧めします。
ホットミルク
牛乳はタンパク質を含む上に、カルシウムやビタミンB2を手軽に摂取できる食品の代表です。
ホットミルクには精神を落ち着けて、入眠をしやすくする効果があるため、温めて飲むことで眠りの質もよくなり、免疫力の強化にも役立ってくれます。
脂質が多いことが気になる場合は、低脂肪乳などもありますので、スーパーやコンビニ等で探してみると良いでしょう。
卵
アレルギーさえなければ、とりあえず取り入れて欲しい食品が卵です。
手軽な上にビタミンB2やタンパク質、豊富なビタミンなど、それぞれの栄養をバランスよく含み、消化にも良いので夏風邪の時にも取り入れたい食品です。
卵粥や卵酒、卵スープなどにして食べるのがおすすめです。
スープにした時は、よく冷ましてから飲むと喉にも優しいでしょう。
卵の卵白に含まれるリゾチームという成分は、免疫力を高める効果もあります。
豚肉
豚肉はタンパク質を多く含む他、ビタミンB1をたっぷりと摂れる食品としてまず初めに上げられます。
疲労をとりのぞく作用があるので、免疫力が弱っている夏風邪の時はもちろん、夏バテの予防にもお勧めしたい食べ物です。
脂身が少ない部位を選ぶなら、ヒレ肉やもも肉を選択すると高タンパクで低脂質です。
うなぎ
うなぎは不足しやすいビタミンやミネラルを補う目的でも使いやすい食品です。
脂質は高いものの、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウム、ビタミンA、タンパク質、血の巡りを良くするビタミンEなども豊富です。
うなぎにも豚肉と同じようにビタミンB1がたっぷりと入っているので、老廃物を代謝して疲労回復を早めます。
栄養満点でスタミナ回復に役立ち、夏にうなぎを食べると良いと言われるのはこういった部分にあると言えます。
生姜
生姜には身体を温めてくれる作用がある上、体の免疫力を上げる効果があります。
疲労回復のほか、新陳代謝を高めるので、冬風邪に限らず夏風邪であっても摂取して欲しい食品です。
生姜は生ではなく、熱を通すことで身体を温める効果が強くなります。
とくに生姜湯がオススメで、いっしょにハチミツを使うと、ハチミツの殺菌作用によってつらい喉の痛みを緩和してくれます。
生姜湯の作り方については、こちらの記事で動画を紹介しています。
紅茶にすりおろした生姜を使ってジンジャーティーにすると、消炎作用によって喉の痛みを軽減してくれます。
※生の生姜を使い過ぎると胃腸障害を引き起こすことがありますので、入れすぎずに少量にとどめておきましょう。
かんきつ類の果物
キウイやレモン、オレンジ、グレープフルーツなどの食品は、クエン酸の他にビタミンCも一緒に摂取できるので、疲労回復のほか、免疫力の強化を期待することが出来ます。
ただ喉の痛みなどでかんきつ類の摂取ができないときは、無理をして食べる必要はありません。
まずは身体に取り入れられる食品を、きちんと食べることをお勧めします。
トマト、ナス
夏風邪では身体の熱を下げてくれる食品の摂取をすることが望ましいため、夏野菜であるトマトやナスを食べましょう。
これらに限らず、生の野菜には身体の体温を下げる作用があり、きゅうりなどもその一つです。
旬の野菜には栄養も多く含まれているので、積極的にとるようにしましょう。
なお、寒気がする場合は、生の野菜よりも生姜を使うことを勧めます。
おかゆ
風邪をひいたときの定番ですが、喉に流しやすく消化にもいいので、夏風邪のときでも活躍するシンプルなメニューです。
ご飯を使うだけでも良いですが、卵や牛乳、梅干しを加えると、タンパク質やクエン酸の効果で更に栄養価がアップします。
玉ねぎ
玉ねぎに含まれる硫化アリルの効果で身体の抵抗力や免疫力を高めることができます。
硫化アリルは水溶性なので水にさらすと溶けてしまい、加熱によって損失してしまうという特徴があります。
なので摂取するときは生ですぐ食べるのが望ましいとされています。
夏風邪のひきはじめには、スライスした玉ねぎに海苔や醤油、鰹節、酢などをトッピングして食べると良いでしょう。
または、玉ねぎは含まれる酵素が作用することで加熱に強くなると言われますので、切った玉ねぎをそのまま1時間ほど置くと硫化アリルが熱に強くなります。(この後に調理すればOKです。)
ほかにも玉ねぎには殺菌作用があるので、皮ごと半分に切った玉ねぎを、切り口を上にして置くだけでも咳止めの効果があると言われます。
チーズ、キムチ、納豆、ヨーグルト(発酵食品)
夏風邪のウイルスは腸で増えるので、これらのウイルスを予防するためにチーズや納豆などの発酵食品をとることもお勧めできます。
夏風邪特有の下痢や腹痛などの胃腸系の症状は、のどの痛みやだるさなどの前兆症状が見られた時、早めに対策をとることで予防することができます。
とくによく効く発酵食品はキムチで、発酵食品の王様とも言われており、腸の機能低下を引き起こすウイルスの対策として食べるのに適しています。
しかし夏風邪の前兆症状が強くある場合、キムチなどの刺激物を食べることがつらいこともあります。
その場合はヨーグルトや納豆などの摂取でもいいので、食べやすいものを選んでください。
胃腸があまり強くない場合は、発酵食品を食べるのを一日2食か1食にするなど、時間の感覚をあけて食べるようにしましょう。
少量のワイン(20~30cc)
夏風邪がひきはじめであれば少量のワインを摂取することも効果的です。
ワインには消炎効果のあるポリフェノールが多く含まれ、少ない量であれば体温の上昇を促して血の巡りをよくし、免疫力を強化してくれるのです。
喉の炎症を緩和してくれるので、喉の痛みなど夏風邪をひいたように感じてしまったら、飲んでみましょう。
ただ、大量にとると体温が上昇した後に低下しやすくなりますので、飲み過ぎず20~30ccの少量摂取を心がけましょう。
また、生姜にも体温を上げる作用と炎症を抑える作用があるので、生姜ワインにすることも効果的です。
ワイン20ccに対して生姜は汁を3、4滴入れるだけで完成します。
生姜は皮を向いてからおろし金ですり、キッチンペーパー等で絞ることで汁を作ることが出来ます。
ニラ
ニラの辛味成分であるアリインには、人の体に入ると強力な殺菌効果があるので、腸内のウイルスに対する作用を期待することが出来ます。
また、喉の痛みや炎症を和らげ、胃液の分泌を促すので、ニラは夏風邪の時には摂取して欲しい野菜と言えます。
ニラは生で食べると消化不良を起こしますので、必ず火を通してから食べるようにしてください。
温かい卵スープやおかゆなどに手軽に使うことができるので、適度な大きさに切って一緒に煮るといいでしょう。
身体を温めてくれる生姜とも相性のいい野菜なので、スープやおかゆにいっしょに入れて食べる方法もあります。
アリインは加熱されることでアリシンと呼ばれる香り成分に変化し、これもまた強い殺菌効果があります。
アリシンはビタミンB1の吸収を高めて疲労回復を促してくれますので、夏風邪にも、なお勧められる成分と言えます。
ビタミンB1と結びついて体内に長くとどめてくれるので、エネルギーを生み出す効果を長持ちさせてくれるのです。
するとビタミンB1の利用効率がアップするので、疲労回復を促してくれます。
ニラには胃腸や内臓の調子を整え、血行をよくし身体を温める作用があるので、冷え性改善のための常食や、夏風邪の時の寒気にも効果的です。
なお、アリインはネギにも含まれますので、一緒にスープなどで調理するのもオススメです。
にんにく
にんにくにもまた、ニラと同じようにアリインが含まれています。
アリインには疲労回復効果のほか、滋養強壮の作用もありますので、にんにくによってスタミナがつくと言われているのはアリインが入っているためです。
加熱していない生のにんにくにアリインは含まれますが、生にんにくは食べ過ぎると腹痛や貧血が起こることがあるため、1日1片ほどに留めましょう。
にんにくには抗菌作用があるため、免疫力を高め、ウイルスを撃退し、ひいたあとに限らず夏風邪の予防にも効果的です。
加熱したものを食べる場合は一日2~3片ほど摂取すると良いと言われています。
しょうがとも相性がいい食品ですので、ごぼうやにんじんと一緒に煮込んで、根菜をつかったスープなども夏風邪には効果的です。
じゃがいも
じゃがいもは豊富なビタミンCを含み、加熱してもビタミンCが壊れにくい特徴を持ちます。
かんきつ類などがとれない、喉の痛みがあるときでも、免疫強化のためビタミンC摂取にお勧めしたい食品と言えます。
スープなどに入れて煮込んだり、おかゆに入れて食べやすくしたりなど、工夫の仕方もたくさんあることが魅力です。
カリウムのほかビタミンB1も含み、疲労回復にも役立ってくれる食品です。
緑黄色野菜
夏に旬を迎えるモロヘイヤやピーマンなどの緑黄色野菜は、ビタミンCのほか、ビタミンAなどの豊富なビタミンを含んでいます。
緑黄色野菜は色で区別しているのではなく、カボチャやにんじんなどのβカロテン(ビタミンA)を豊富に含む野菜の総称です。
(厳密には、可食部100g当たりのカロテン含量が600μg以上の野菜のことを指しますが、カロテンが600μg以下でも1回に食べる量や使用回数の多い野菜も含みます。)
ビタミンAは粘膜を正常に保つことに役立ってくれますので、夏風邪の時にかぎらず、普段から意識して摂取することで予防ともなるでしょう。
小松菜などの植物性食品は消化に良いだけではなく、ビタミンCによって白血球を活発にして免疫力を高めてくれます。
特に旬の食べ物には、栄養もたっぷり含まれますから、積極的に摂取していくといいでしょう。
<夏に旬を迎える緑黄色野菜>
- ピーマン
- モロヘイヤ
- シソ
- オクラ
- ゴーヤ
- トマト
- かぼちゃ
- いんげん
- ししとう
- 枝豆
枝豆はさやに収まったまま煮るため、ビタミンCが残りやすい特徴を持ち、タンパク質も含むためオススメの食品です。
喉を刺激しない食べ物
夏風邪では、喉の痛みが症状として現れるので、刺激物はもちろん、食べ物がのどを通らないこともあります。
そんな時のためにお勧めしたい食品を紹介していきます。
大根
大根には消化酵素のジアスターゼとよばれる成分が含まれており、消化を促し、肺の熱をとって咳をしずめてくれる効果があります。
咳が収まれば喉への刺激も少なくなりますので、痛みを和らげることができます。
ジアスターゼは加熱に弱く、火を通すと効果がなくなってしまうので、大根おろしにしてつかうのがオススメです。
やわらかく煮込んだうどんなどに大根おろしをのせて食べると良いでしょう。
また、大根をすりおろしたときの汁に抗炎症作用のあるハチミツを混ぜて飲むことで、喉の腫れを抑えることが出来ます。
痰も切れやすくなり、咳が激しい時でも抑えてくれる効果があります。
茶碗蒸し
喉の通りが良いので、おすすめできる食品として茶碗蒸しがあります。
蒸すことで中の食材もやわらかくなり、食べやすくなるので、のどの痛みがあるときにいいでしょう。
材料にネギやニラなどを使えば殺菌効果や疲労回復効果も得られ、ネギには「ネギオール」と呼ばれる成分が入っており、炎症を抑えてくれます。
茶碗蒸しには卵が使われるのでタンパク質も摂取できますが、食べられるなら鶏肉や白身魚も加えるとなおタンパク質摂取になってオススメです。
黒豆
黒豆にはサポニンと呼ばれる、粘膜を保護してくれる成分が含まれています。
咳やのどの痛み、痰にも効果があり、サポニン自体はのど飴などにも使われている成分です。
黒豆の煮汁にものどへの効果があるとされており、サポニンは免疫力も強化する作用もあります。
免疫力は人間の体にもとから宿っている、病気やけがを治そうとする機能のことですが、サポニンは免疫機能を司るナチュラルキラー細胞を活性化してくれるのです。
サポニンは黒豆のほか、豆乳などの大豆食品にも含まれています。
マシュマロ
マシュマロにはゼラチンが含まれており、喉の炎症や痛みを抑えてくれる作用があります。
おやつなので小さな子供も食べられますし、口の中で溶けてくれる上にやわらかいので、喉に刺激も与えません。
3、4粒ほどをゆっくりと食べると良いでしょう。
ゼリー、プリン、蒸しパン
喉の通りが良い食品にはプリンやゼリーといった食品もあります。
ツルッと入っていくので咳や炎症があるときでも食べやすく、夏風邪の時にのどの痛みがあるときは揃えておくと安心する食品です。
消化にも優しく、デザートにもなるので、特に子供にはおすすめですが、プリンは卵を原料に使っているので栄養もとれます。
蒸しパンは普通のパンよりも、口当たりが柔らかいので、食べやすい食品です。
ヨーグルト
ヨーグルトも固形物のように喉を刺激しないのでおすすめの食べ物です。
ヨーグルトにはビフィズス菌が入っているので腸内環境をととのえ、免疫力を上げてくれる上にラクトフェリンという成分が夏風邪に有効だとされています。
夏風邪の下痢には乳酸菌も有効なので、お腹の調子が悪い時でも食べて欲しい食品です。
ただヨーグルトは冷たいままだと逆に腸に負担をかけてしまうので、多少常温に戻してから口に運ぶことをお勧めします。
ヨーグルトにはタンパク質も含まれますので、食べ過ぎれば腸に負担がかかりますから、食べるなら一日1個にとどめるようにしましょう。
すりりんご
りんごはそのままでも十分消化にはいい食べ物ですが、おろし金などですりりんごにするともっと食べやすく、喉にも優しい食品になります。
リンゴにはリンゴ酸という成分もあり、炎症にも効果があります。
とくにリンゴの皮にはアップルペクチンとよばれる成分が含まれており、食物繊維とともに腸内を整えて免疫力をあげてくれます。
すりりんごはヨーグルトなどにかけてもおいしい上、ハチミツとも相性のいい食品です。
すりおろしたリンゴを紅茶に入れて、生姜(粉末でもOK)、はちみつを入れるだけで、喉にも夏風邪にも非常に効果的なドリンクが出来上がります。
うどん
ツルリとして食べやすく、食欲が無い夏風邪の時でも食べやすいと評判なのがうどんです。
だしをかけただけの素うどんに、梅肉や梅干しをたたいたものをかけて、ネギを加えるだけで完成します。
食べられるならとろりとして食べやすい温泉卵を入れると、タンパク質も摂取できるでしょう。
他にもトッピングとして、とろろ汁や鰹節、のりなどをつけることもできます。
腹痛や下痢、嘔吐があるときの食べ物
下痢や嘔吐といった症状がすでに出てしまっている場合は、まず食事よりも、脱水症状を防ぐための水分補給を優先します。
ポイントは一緒に塩分を補給することなので、ただの水よりもスポーツドリンクがオススメです。
※スポーツドリンクは糖分も多いため、薄めて飲むことを勧めます。
症状がやわらいできて食事がとれそうになったら、おかゆやうどん、豆腐や白身魚、胃腸を整えてくれるすりりんごなどから食べられるものを選択しましょう。
塩分などは、みそ汁の汁から補給をする手段もあります。
<お腹の調子が悪いときの食べ物>
- おかゆ
- うどん
- 豆腐、大豆食品
- 白身魚
- すりりんご など
夏風邪の時には控えたい刺激物
夏風邪の時には、のどの痛みを伴うことも多いため、刺激を与える食べ物や飲み物はとらないほうがいいでしょう。
<夏風邪にかかったときには避けたい食品>
- アルコール(ひきはじめの少量のワインは可)
- コーヒー
- 冷たい飲み物
- 炭酸飲料
- 熱いもの
- 辛いもの
牛乳なども、冷たいままで飲むのではなく、温めてホットミルクやホットココアにすることを勧めます。
生活習慣で夏風邪を早く治す方法
特効薬の存在しない夏風邪には、薬で早く治すというやり方はありません。
なので、夏風邪に効く何よりの早く治す方法は、よく休み、できるだけ免疫力を高めることに集中してウイルスを排出してしまうことです。
⇒夏風邪の治し方!喉の痛みや咳、鼻水の原因はクーラー!?子供や幼児の場合は?寝る時の工夫
とはいえ、ウイルスは体内にひと月ほど残っていますので、夏風邪の症状が治ったからといって油断はしないことです。
夏風邪の症状が治ったばかりの頃はまだ免疫力も高まりきっていない上に、不摂生を繰り返していればぶり返すこともありますので、ひと月の間は油断せずに、水分補給、栄養補給、身体を休めることを徹底しておけば自然と治っていくでしょう。
<夏風邪を早く治すために大切なこと>
- クーラーの温度を高めにする:外との温度差が5度以上になってしまうと、身体が気温の変化についていけず、自律神経の乱れが起こって免疫力が低下します。夏風邪の治りが遅くなってしまうので、冷房のかけすぎには注意です。暑さをガマンして高温の中で過ごすと、室内での熱中症を引き起こすこともありますので、クーラーの温度は27~28度くらいに設定しましょう。
- 薬をのむことを控える:あまりにも症状がつらい場合は薬をのむこともあります。しかし、抗生物質でできた風邪薬では、一時的に症状が軽くなるだけで、夏風邪のウイルスを根本的になくすことはできません。逆に飲むことで免疫力を下げて夏風邪の治りが遅くなることがわかっています。通常3~7日で治る夏風邪が、薬をのむことで10~14日までに伸びてしまうと言われるので、早く治したい場合は免疫力強化につとめ、できるだけ薬には頼らないようにしましょう。
- 水分補給・栄養補給をする:夏風邪では下痢などの症状で水分が身体から多く排出されるため、脱水症状に陥らないよう水分補給を心がけましょう。夏場は汗もかきやすく、高熱が出れば汗とともに水分も失われます。一日2リットルを目安に、1時間に一回はこまめに水分をとるようにしましょう。経口補水液やスポーツドリンクがおすすめで、糖分が高いスポーツドリンクは薄めて飲むといいでしょう。また、栄養をきちんと補給することで免疫力の強化を促せます。
- 睡眠・疲労をとる:よく眠り、疲労をとることで身体の抵抗力をより上げることが出来ます。疲労をとるためにはビタミンB1やクエン酸などの摂取がオススメです。また、熱が出るのは身体がウイルスと戦っているときの状態だといいますので、よく身体を休めることが大切です。
- 下痢や嘔吐を止める薬は使わない:夏風邪の特徴である下痢や嘔吐は、身体がウイルスを外に出そうとして起こる現象です。下痢止めなどを安易に使っていると、ウイルスをうまく排出することができなくなるので症状が長引く原因となります。
- ぬるめのお風呂につかる:体力が落ちているときは熱いお風呂はお勧めしません。しかし、ぬるめのお湯をわかしたお風呂なら、自律神経の乱れを改善してくれるので、免疫力の強化に有効です。※高熱の時は、ぬるめであっても入浴はひかえましょう。
解熱剤なども熱が高い時は使うことがありますが、むやみに飲むようにすると逆効果になりますので注意しましょう。
薬の頼り過ぎは長引く原因となりますので、飲むとしても要所要所に使うことを意識してください。
夏風邪の高熱に効く方法
脂っぽい食品を避ける
脂身の多い肉や油っぽい食品は消化に負担がかかるため、腸に来る夏風邪の場合は免疫力の低下につながります。
高熱が上がってしまう原因にもなる可能性があり、摂取を控えたほうがいいと言えます。
お肉の他にも、魚ならサンマや鯖などの脂身が多い魚はさけ、白身魚などのタンパクな食品を選びましょう。
肉類なら、ささみや皮をとった鶏肉など、さっぱりとした部位を選べば問題ありません。
氷枕や保冷剤で身体の体温を下げる
高熱の場合は、体の体温を下げることも重要です。
とくに首の周りや脇を冷やすと熱を冷ましやすく、高熱のつらさを抑えることが可能です。
氷枕なども、後頭部から冷やしてくれますので有効な方法です。
ただ寒気がする場合は症状を悪化させてしまうこともあるので、保冷剤などの使用は控えましょう。
高熱の時は入浴もしないほうがいいです。
厚着はしないほうがいい
夏風邪によって38度以上の高熱が出ている場合は、汗が出て体力を使います。
この状態で厚着をしているとさらに必要以上の汗がたくさん出るようになり、身体が体温調節にエネルギーを使うことになります。
寒気がしている場合は別ですが、熱を感じているときは寝返りのうちやすい、薄めの服を着ましょう。
解熱剤を使い過ぎない
夏風邪で高熱が症状として出るのは、免疫細胞である白血球が増殖することで夏風邪のウイルスを退治するために高熱として現れています。
解熱剤は一時的に白血球を抑えこんで、高熱を下げているだけなので後でぶり返す原因となります。
あまり使い過ぎると夏風邪が長引く原因ともなりますので、控えたほうがいいと言えます。
汗で失われるミネラルを摂取する
高熱が出ると汗もたくさん出ますから、汗によって排出されてしまうミネラルを補給することも大切になります。
もちろん脱水症状を予防するため、水分補給も忘れずに行わなければなりませんが、その際は塩分(ナトリウム)などを摂取できるスポーツドリンクが良いでしょう。
手軽に食べれるバナナは消化にもいいですし、おかゆに入れられる卵などからも摂取できます。
マグネシウムやカルシウム、鉄分などが汗で失われますが、マグネシウムは大豆食品や野菜から、鉄分は貝類や豆類、レバーなどから摂取できます。
マッサージを行う
<ツボを押して熱を下げるマッサージ>
座りながらでも非常に簡単にできるマッサージなので、高熱の時にもぜひお試しください。
夏風邪が長引く原因と食事で治す方法まとめ
夏風邪は免疫力の低下によって引き起こされるのが一番の原因と言えるので、食事などで栄養をきちんととり治すようにしましょう。
夏風邪のウイルスは、体内に留まる期間が長い上に、クーラーの温度で長引く原因となりますので、冷房のかけすぎには注意が必要です。
とくに、ライノウイルスは寒くて乾燥した室内を好みます。
以下の記事で、症状別で夏風邪の原因となるウイルスについて詳しく説明しています。
⇒夏風邪の症状と特徴について!大人と子供の高熱や鼻水、頭痛、咳など
<夏風邪・夏のお悩み・熱中症記事一覧>