油というと、とりすぎによって身体に蓄積され、
肥満のもとになるイメージが定着しているかと思います。
しかし、脂質は体温の維持や、ビタミンの運搬など、
体に必要な栄養素であることは間違いありません。
油はものを選ぶことで、からだへの作用の良し悪しが決まると言われます。
たとえばオメガ6と呼ばれる脂肪酸を多く含む紅花油やひまわり油は、
とりすぎによって炎症を引き起こしたり、血液をドロドロにするといわれます。
今回ご紹介するオメガ9は加熱によって酸化がしにくい特性を持ち、悪玉コレステロールの値を下げると言われ、
積極的に身体に取り入れて行きたい油と言えます。
一価不飽和脂肪酸とも呼ばれている油で、
とくにオリーブオイルやアーモンドなどに多いとされている油です。
オリーブオイルに含まれているオレイン酸は、
血液をサラサラにして老化を防ぎ、生活習慣病やガンを予防する効果が
あるとされています。
主なオメガ9脂肪酸の種類
オレイン酸 |
エライジン酸 |
エルカ酸 |
ネルボン酸 |
オメガ9のなかではとくにこのオレイン酸が注目されているので、
今回はこの脂肪酸について見ていきましょう。
記事内容(項目をクリックすると飛べます)
オレイン酸の特徴
オレイン酸は体内で老化を促す活性酸素と呼ばれる物質とむすびついて、
脂質が酸化することを防いでくれます。
そのため、老化を防止してくれるとともに、
脂質の酸化をおさえるので、加熱調理にも向いています。
通常の植物油脂(サラダ油やコーン油など)は、摂取量が多いと
アレルギー症状を引き起こす原因とされていますが、
オレイン酸は悪玉コレステロールを下げてくれると言われています。
また、肌の皮脂に含まれている油は、もっとも多くオレイン酸が占めています。
皮膚をふっくらとさせ、弾力やハリのある肌になるよう
促してくれる特徴を持ちます。
オメガ9はオリーブオイルで調理に使うことが、一番簡単な摂取方法ですが、
間食によいアーモンドもオレイン酸を手軽にとることが出来ます。
ナッツ類の中ではとくにアーモンドがオメガ9脂肪酸が多く含まれるといいます。
「素焼き」という表記がある、油や塩を使っていない
アーモンドを買うのがおすすめです。
ナッツ本来のカリッとした食感を味わえて、塩分もなく、美味しいですよ。
オレイン酸の効果
酸化を抑えて、老化を防止するアンチエイジング効果
脂質が活性酸素によって酸化されると、過酸化脂質と呼ばれる
老廃物に変化します。
過酸化脂質はからだに害を与える物質で、皮膚の細胞を傷つけ、
動脈硬化や脳卒中、シワ、シミといった老化の原因になっているともいわれています。
細胞のなかで新しく活性酸素をつくりだして、また新しい過酸化脂質が生み出されて、
悪循環を生むといった特性を持ちます。
オレイン酸はこの過酸化脂質を生み出す原因となる活性酸素を
除去してくれる働きがあるので、
若返りや生活習慣病の予防につながる
と言われます。
- 動脈硬化や脳卒中の予防
- 老化を防止する
美肌、美容に効果がある
オレイン酸は皮膚に弾力を与える脂肪酸で、
ゴワつきや小さなシワなどを改善していく効果があります。
肌に含まれる脂はオレイン酸が大部分を占めていると言われており、
食品から摂取することで肌に対する作用を得ることが出来ます。
不足によってくすみや肌荒れ、乾燥などの原因になるとされています。
- 肌のゴワつきやシワを改善する
- 肌荒れやくすみを予防
悪玉コレステロールを減らす
悪玉コレステロールは血液をドロドロにすると言われ、
血管がつまりやすくなる原因となっています。
人間のからだは血液によって酸素の運搬がされます。
悪玉コレステロールが増えると、心筋梗塞や脳梗塞といった
症状を引き起こすので、オレイン酸はこれらの症状を
予防する効果もあると言われます。
血液をサラサラにし、酸素の運搬をスムーズにします。
- 血液をサラサラにする
- 心筋梗塞や脳卒中の予防
便秘を予防する
オレイン酸は腸に刺激を与える上に、乳化作用があるので、
便をやわらかくし、便秘を解消する作用があります。
オレイン酸はせっけんなどにも原料として使われる成分で、
乳化作用によって、素材を滑らかにするために使われています。
胃に負担がかからない
肉類などの脂は消化に時間がかかるため、胃酸の分泌が多くなり
胸焼けといった症状がでます。
しかし、オレイン酸は肉の脂と比べて胃を通過する時間が短いため、
油分を摂取しても胃もたれといった症状を予防することが出来ます。
スポンサーリンク
オレイン酸を食品で摂るには?
オレイン酸と一口でいっても、
効率的に取れる食品には限りがあるようです。
では、オレイン酸を効果的に摂取できる食品を見ていきましょう。
調理にはぜひ使いたいオリーブオイル
オレイン酸を料理で手軽に取るなら、オリーブオイルが
一番使いやすいと言えます。
オリーブオイルは脂肪酸のうち、70%以上をオレイン酸が占めている上に
ポリフェノールやビタミンEといった成分が含まれています。
ポリフェノールは細胞を傷つけるフリーラジカルと呼ばれる物質を除去し、
老化やガン、動脈硬化を予防します。
また、ビタミンEは若返りのビタミンとも呼ばれ、
細胞の老化を防ぎ、毛細血管を拡張して血の巡りをよくします。
とくに冷え性にもビタミンEは効きますから、女性に嬉しい油と言えるでしょう。
- 若返りを促す
- 血行をよくして冷え性に効く
- ガンや動脈硬化を予防する
手軽なオレイン酸補給ができるアーモンド
手軽な間食としてとれるのが魅力的なアーモンド。
オメガ9脂肪酸が豊富に入っている上に
ビタミンEの補給源として優秀だと言えます。
油は料理で使うのが普通ですが、アーモンドならおやつにも
簡単に補給をすることができます。
とくにビタミンEは身体のサビつきを防いでくれるので
積極的に取り入れて行きたい成分と言えます。
血行や肌の調子を整えるアボカド
果物の中でもとくに脂肪分が多いのがアボカドです。
脂質が多いとはいえ、その成分は
大部分がオレイン酸などの良質の油が占めています。
肌のハリをよくし、生のままで手軽に食べることが出来る上、
脂肪を分解する酵素であるリパーゼも豊富です。
また余分な塩分の排出をうながすカリウムや、
肌や髪を構成するアミノ酸の合成を促すビタミンB6も豊富です。
そのため高血圧や肌荒れにも効き、髪のツヤをよくするといった
効果もあります。
ビタミンEも豊富に含まれ、血行を良くする効果から
肩こりや頭痛といった症状を和らげることもできます。
個人的には、生のままスプーンですくって醤油で食べるのがおすすめ(笑)
- 高血圧の予防
- 肌荒れや髪のゴワつきを解消
- 肌にハリを与える
- 血行不良による頭痛・肩こりの解消
悪酔いやガンを予防するごま油
中華料理やサラダの風味付けに使えるのがごま油。
特徴のある香りで、調理のポイントにいいですよね。
実はごま油にもオレイン酸が多く含まれており、
悪玉コレステロールを下げる作用があると言われています。
また、ごま由来の抗酸化成分ゴマリグナン(セサミンなど)を含み、
この成分がごま油の酸化を防いでいると言われます。
ゴマリグナンはがんの予防やアルコールの分解を助けるといった効果があるので、
抗がん作用、および悪酔いの予防になるでしょう。
ただ、ごま油はオメガ6脂肪酸と呼ばれる成分も多いので、
摂り過ぎるとアトピーなどのアレルギー症状がひどくなる可能性があります。
なので、あまりたくさん使わないように気をつけることも大切です。
- 悪玉コレステロール値の減少
- 抗がん作用
- 悪酔い、二日酔いの予防
オレイン酸をとりすぎると起こること
どれだけ美容効果が高いと言っても、やはり脂質ですから
とりすぎによってカロリーオーバーを起こすことは間違いありません。
オレイン酸過剰摂取によって起こることを見てみましょう。
肥満
油は1gあたりで9kcalものエネルギーを産みます。
他のエネルギーを生み出す炭水化物やタンパク質が4kcalであるのと比べ、
脂質のカロリー量は倍以上の数値です。
ですので、ダイエットなどを行う際には、
脂質の量をできるだけ控えた食事であると効率的に行えるといえます。
必要エネルギーの量を超えると、余分になった油はどんどん
身体の中に蓄積されていき、肥満の原因になります。
肥満は糖尿病や高脂血症、動脈硬化を引き起こすので、
生活習慣病のリスクが高まります。
大腸がんや乳がんになりやすくなる
脂肪分の多い食事をあまりにも長く続けていると、
ガンのリスクが高まると言われています。
特に大腸がんや乳がん、前立腺がんに対するリスクが高まると言われるので、
脂質のとりすぎには注意が必要です。
オレイン酸のプチネタ
キャノーラ油は体にいいのか?
キャノーラ油(菜種油)はオメガ9脂肪酸の割合が6割ほどとされ、
一見これだけを聞くと身体に良さそうなイメージがあります。
しかし、菜種油は原料の遺伝子組み換えが問題視されているので、
体にいいかどうかは考えものです。
また、オリーブオイルと比べると、炎症を引き起こすオメガ6脂肪酸の割合が
3倍ほどあるとされているので、選べるならできるだけ
オリーブオイルなどを使うのがいいと言えます。
まとめ
生活習慣病の予防や老化防止の効果といった、
オメガ9脂肪酸には油としてのよい効用がたっぷりとつまっています。
しかし、やはり脂肪ですから摂り過ぎは肥満につながります。
美容に良い効果を受けたいなら適量に留めつつ、上手に活用しましょう。
スポンサーリンク