ちょっとだけ外を出歩くだけならば、痛くなるくらいの日焼けにはなかなかなりにくいものですが、夏に楽しみな海水浴などのレジャーには、どうしても日焼けがつきものです。
痛くなってしまった日焼けに対しては、きちんとケアを行わなければいけません。
この記事では、日焼けによって痛みが出た時の対処や薬などについて紹介していきます。
なお、日焼けのかゆみや水ぶくれについての解決策を知りたい場合は以下のページを参照してください。
では、まず初めに日焼けが痛くなってしまう原因から知り、正しい対処をしていきましょう。
記事内容(項目をクリックすると飛べます)
日焼けが痛くなる理由と原因
日焼けで真っ赤になった状態を「紅斑(こうはん)」または「サンバーン」と呼びます。
夏場の日差しがサンサンと降り注ぐ中、長時間紫外線にさらされているとこの状態になりやすく、服がすれたりするだけで痛みを感じたりもします。
サンバーンはいわゆる火傷と同じ状態なのですが、熱が原因として起こるのではなく、「紫外線」にさらされることで日焼けが引き起こされます。
※サンバーンについての詳しいことは、日焼けのかゆみについての記事で詳しく書いています。
紫外線が当たると日焼けする理由
ではなぜ、肌は紫外線に当たると日焼けするのか、ですが…。
理由は「サイトカイン」と呼ばれる、細胞から分泌されるたんぱく質のひとつである「プロスタグランディンE」という生理活性物質が皮膚でつくられてしまうからです。
この「プロスタグランディンE」がつくられると、真皮(表皮の内側にあり、肌組織の大部分を占める)に届き、血管を広げる作用を発揮します。
血管が広がると、血流が増えて皮膚が赤く見えるようになる上、プロスタグランディンEは炎症を起こして、痛みを感じる神経を敏感にしてしまいます。
日焼けをすると真っ赤になって痛みを感じてしまうのは、こうした仕組みになっているのです。
プロスタグランディンEは遺伝子が傷つけられると生まれる
プロスタグランディンEは、皮膚組織にあるDNAが傷つけられればられるほど、分泌される量が多くなります。
つまり、紫外線によって赤くなっている(サンバーンがひどい)ほどに肌の内側がひどく傷ついているということになるのです。
とくにメラニン色素が少ない色白の人は、紫外線によって3~5倍くらい遺伝子が傷つきやすいと言われます。
(メラニン色素は、肌を守るために生み出される物質です。)
サンバーンはどのくらい日差しを浴びるとなるのか?
サンバーンは、紫外線を浴びてからおよそ4~5時間程度で赤くなり始めて、24時間後にはピークになります。
とくに色白の人や肌が弱い人に多く見られます。
サンバーンになりやすい人はメラニン色素を生成するのが遅いので、紫外線に対する抵抗力が弱いのです。
ただ、遺伝子に傷がついてしまったとしても、身体の中にある酵素が修復してくれるので、きちんとケアをすれば大丈夫です。
日焼け後、痛みのケアと対処法について
1、冷やす
日焼けしてしまったら、まずは冷やします。
これはかゆみがある場合でも同じなのですが、刺激を感じやすくなっている場合は冷たい水でタオルを濡らし、日焼けしてしまった箇所に当てて熱をとるようにします。
流水にさらしても大丈夫であれば、水道で直接冷やしてもいいでしょう。
水風呂に入るという手もありますが、体温が下がりますのであまり長時間は入らないようにしてください。
どうしてもヒリヒリ感がとれなかったり、熱を持ったまま治らない場合は、ひどくならないうちにすぐに皮膚科専門医を受診しましょう。
日焼けによって水ぶくれができている場合は、自宅療養では悪化の原因になったりもしますので、早めの治療が大切です。
2、保湿する
冷やしたら、ケアのために保湿することが大切です。
化粧水のあとにワセリンを塗ったり、アロエクリームを塗ったりする方法や、他にも保湿には軟膏が使われることが多いです。
(ワセリンやアロエクリームについては、こちらの記事で書いています。)
軟膏にはステロイドと非ステロイドの2種類があります。
- ステロイド薬:水ぶくれが出るほど症状が悪化している場合、皮膚科で処方されることがあります。
- 非ステロイド薬:症状が軽い状態で使われる薬です。市販品でも多く出ています。
日焼けに使える薬
ステロイド薬
ステロイドには強い効き目がある代わりに副作用もあるので、日焼けのような広範囲に塗る薬としては適しているとは言えません。
ステロイド薬はあくまで、日焼けの症状がひどく悪化している箇所に短期間で使うことを目的とし、長期間使い続けることは避けたほうがいいです。
全身に使うのではなく、ピンポイントで使用しましょう。
ステロイドは病院できちんと診察を受け、処方されたものを使うのをおすすめしますが、市販薬であれば「オイラックスPZ軟膏」が副作用の少ないステロイド薬だと言われています。
ステロイドは1が強く、5が弱いという5段階に分けられています。
病院で処方されるリンデロンVG軟膏は3群(強い)、ロコイドは4群(中)なので、弱い薬ではありませんから、お医者さんに言われた使い方をきちんと守るようにしましょう。
非ステロイドの軟膏について
オロナインH軟膏
オロナイン軟膏はひびやあかぎれなどの他、軽いやけどにも効果があり、日焼けのケアとして使用するのにも適していると言われています。
日焼けもいわゆる「軽いやけど」なので、多少赤くなっている日焼けには効果的な軟膏と言えます。
ただ、炎症や水ぶくれががひどい場合など、「重度の日焼け」である場合は、オロナインを使うと余計悪化してしまうことがあります。
症状がひどい場合は、オロナインを使う前に皮膚科に行き、診察を受けたほうがいいと言えます。
【オロナイン軟膏の特徴】
- 多少赤くなっている程度の「軽い日焼け」には効果的。
- 炎症や水ぶくれがひどく、日焼けの症状が重い場合は悪化の原因になることがあるため、オロナインを使う前に病院に行く。
アロエ軟膏
アロエには、紫外線で傷ついてしまった皮膚を修復したり、治癒してくれる作用があります。
日焼け後のケアに使えるのももちろんですが、アロエに含まれる成分には炎症を引き起こす紫外線(UV-B)を吸収してサンバーンを防いでくれる効果があります。
つまり、日差しに当たる前にアロエ軟膏を塗ることで、事前に日焼けがひどくなることを予防してくれるのです。
肌を黒くする紫外線(UV-A)の作用も抑えてくれるので、出かける前に使うことにもおすすめできる軟膏です。
アロエ軟膏にはワセリンも入っており、保湿効果にも優れます。
保湿用のローション
軟膏を塗る前に保湿するためのローションを塗りましょう。
日焼けをした肌は、水分を保持することができなくなり、乾燥してカサカサします。
とくに皮がポロポロと取れてしまうのは、保湿が足りないサインですので、軟膏を塗る前にローションできちんと保湿しましょう。
カーマインローション
カーマインローションは日焼け後のほてりや熱を取り除くために使用されるローションです。
塗ると清涼感を感じることができ、冷蔵庫などで冷やしておいて、日焼けをしてしまったら使うのも良いようです。
海水浴などレジャーなどで日焼けが心配の場合は、クーラーボックスに氷を入れて、冷やしておいてもいいでしょう。
身体が熱を持ってしまったら、顔や身体、両方に使用でき、リーズナブルなのでたくさん使うことができるのも魅力です。
アロエとろとろローション
アロエはひどい日焼けにも効く植物で、薬効が期待できるのは「アロエベラ」や「キダチアロエ」だと言われています。
日焼けによる炎症を抑える消炎効果のほか、保湿効果や傷ついた肌を修復する作用を得ることができます。
アロエとろとろローションはキダチアロエとアロエベラを使用し、顔と身体の両方に使用することが出来ます。
成分が心配な場合でも、パラベン(防腐剤)やトリエタノールアミン(略してTEA、アレルギーや乾燥を引き起こすことがある)を使用しておらず、成分的にもかなり優れているローションです。
アベンヌウォーター
アベンヌウォーターは、アベンヌ温泉水を100%使用したスプレー式の化粧水です。
肌の改善効果があり、とくに日焼けがヒリヒリとして、触るのさえ難しいような敏感になってしまった肌にもおすすめです。
全身に使用する場合は、刺激が加わる成分がほとんど含まれていないものがいいので、この場合はアベンヌウォーターが向いています。
1本備えとして持っておいてもいいでしょう。
たっぷりと使うには少しお高めですが、余分な成分が入っていない(温泉水と窒素だけ)ので、肌が弱い人でも安心して使えると、Amazonのレビューでも好評です。
化粧水の前に使うにも良く、通常時のお肌のケアにも向いているようです。
<アベンヌ公式:アベンヌ温泉水についてと原産地(南フランス)>
日焼けの痛みは何日後に収まるか?
強い紫外線にあたった場合は個人差もありますが、痛みのピークを迎えるのは6~24時間後と言われています。
赤くなったり、腫れたりしてくるのがだいたい8時間後~12時間後くらいという話です。
痛みが続く期間は、どのくらい日差しに当たったかということも影響してきますが、ケアをきちんと行えば早ければ2~3日で回復します。
ただ、症状が重い場合だとそれだけ期間も伸びるので、1週間以上痛みが続いてしまうこともあるようです。
<症状が現れる時間>
- 赤くなったり、腫れ上がってくる:約8時間後~12時間後
- 痛みのピーク:約6~24時間後
<治る期間>
- 早い場合:2~3日
- 症状が重い場合:1週間以上
長引かせないで早く治すポイントは、日焼けをしたらすぐにしっかり冷やすことです。
後々赤みが出てきたり、腫れたりしてきた場合は刺激を与えないように冷却すると、痛みを軽くすることができます。
ケアは痛みが早めに引いても最低1週間は続け、保湿もきちんと行うようにしましょう。
痛みがあるときの入浴の注意点
痛みがある場合は無理して温かいお湯に入る必要はなく、15℃くらいのすこし冷ための水に浸かるといいでしょう。
(浴槽に浸かって日焼けした箇所が傷むようなら、温度を下げるようにしてください。)
シャワーも強く出しすぎず、汗を流す程度にし、痛みがある数日間は強くこすって洗うようなことは避けましょう。
痛みが軽くなっても、肌が再生するまでは刺激の少ないボディソープやせっけんを使うようにすると良いです。
早く治すためには肌のターンオーバーを促す
どんなに保湿を徹底していても、肌の生まれ変わり(ターンオーバー)が乱れていては、治るのも遅くなってしまいます。
睡眠や食生活をきちんと整えることで日焼けの痛みも早く治すことができます。
1、十分に睡眠をとる
成長ホルモンが活発になるのは22時~深夜2時と言われ、肌のゴールデンタイムと言われています。
睡眠不足は翌日の調子にも影響しますので、意識して早く寝るようにしましょう。
また寝不足は、肌だけでなく物事に集中できなくなったりとあらゆる不調の原因となってしまいます。
早く治したいなら、夜更かしせずに睡眠時間はしっかり確保しましょう。
2、食事をバランスよくとる、水分を摂取する
偏った食生活では上手に栄養補給ができません。
栄養がとれていないと新しい肌もうまく作ることができないので、ビタミンやミネラル、たんぱく質などもしっかり取ることを意識しましょう。
たとえばお菓子や麺類だけで済ませるのではなく、コラーゲンの元になるたんぱく質を取るならお肉やお魚、卵やお豆腐などをおかずに入れるのがおすすめです。
ビタミンやミネラルをとるなら野菜や果物もしっかりと食事にとりいれましょう。
コラーゲンの生成に必要となるビタミンCが含まれる食べ物は、夏に旬を迎えるものでピーマンやゴーヤ、ししとう、モロヘイヤなどがあります。
他には、かんきつ類にもビタミンCが含まれています。
ちなみにビタミンCは汗といっしょに失われると言われます。
なので、運動などをしたらビタミンCを摂取するように意識するとより良いでしょう。
また、身体からは水分もたくさん失われていますので、こまめな水分補給も心がけましょう。
3、ストレスをためない
ストレスは肌にも悪いだけではなく、健康状態にも悪影響を及ぼします。
運動を行うなど、自分に合った発散方法を見つけるといいでしょう。
日焼けの痛みまとめ
日焼けをしてしまったら、まずはしっかり冷やして保湿をすることが大切です。
とくに日焼け後はカサカサとして乾燥しやすいので、軟膏やローションなどで肌の水分を維持するようにしましょう。
また、日焼け直後にしてはいけないことは、以下の記事で触れています。
興味がありましたらご覧ください。
水ぶくれの処置の方法はこちらへ。
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