水ぶくれは、正しくは「水疱(すいほう)」と呼ばれる皮疹(皮膚の病変)のことをさし、暑い夏の日焼けでも発生します。
この記事では水ぶくれの処置についてまとめていきますが、日焼けのかゆみや痛みについては以下の記事群が詳しく書いてありますので、知りたい時やお悩みの場合はご覧いただけたらと思います。
まずは日焼けによって水ぶくれができてしまう理由から知っておきましょう。
記事内容(項目をクリックすると飛べます)
日焼けの水ぶくれができる原因は?
日焼けは、火傷と同じです。
水ぶくれが起こるような、肌に赤みがでてジンジンとする日焼けをサンバーンと呼び、UV-Bという紫外線B波を浴びすぎた影響で起こります。
やけどは深さによってⅠ度~Ⅲ度までの分類があり、皮膚に水ぶくれができてしまうのはⅡ度の段階になります。
Ⅱ度は、表皮(皮膚の表面)から真皮(表皮の内側にある肌組織のほとんどの部分)まで至るやけどのことを指します。
- 1度熱傷:皮膚の表面(表皮)のみがダメージを受けて、多少のヒリヒリ感と赤みが見られます。ちょっとした色素沈着が見られますが、自然となくなります。1度では水ぶくれにはならず、7日ほどで治ります。
- 2度熱傷:真皮にまで炎症が発生して、痛みを強く感じて水ぶくれが症状として現れます。軽ければ2~3週間程度で治りますが、深いと3週間以上かかることがあります。
- 3度熱傷:神経まで及んで痛覚が失われるので痛みがなく、深い潰瘍となります。はっきりとした痕が残り、重度の火傷の状態です。
UV-Bは肌の細胞を傷つけ、炎症を起こすので、症状としては水ぶくれとともに肌が赤くなり、ヒリヒリとした痛みを感じます。
夏場のレジャーなどで長い間日差しにさらされていると、Ⅱ度のやけどと同様の状態となるのです。
痕が残ることは少ないものの、きちんとした対処を行わなければ痕が残ってしまうことがあります。
日焼け後は薬を塗る前に、まずは正しい対処をする必要があります。
水ぶくれができたときの対処法
まずは冷やす
日焼けによって水ぶくれができてしまったら、まずはやけどに対してと同じような処置をします。
なので日焼けしてしまったら、できるだけ早めにシャワーなどで冷やします。
焼けてからすぐ冷やすことで炎症などを軽くすることが出来ます。
シャワーを浴びる前に服を脱ぐ時も、水ぶくれを潰してしまわないよう慎重に脱ぎます。
(あるいは、服を着たまま浴びてもOKです。)
- 日焼けした場所が全体のとき:冷水のシャワーでよく冷やします。水ぶくれをつぶさないように、弱めに水を出します。水風呂でも効果的です。
- 日焼けした場所が一部のとき:水道の流水を弱めに出し、直接冷やします。あるいは、水で濡らしたタオルを患部に当ててもいいでしょう。
タオルを当てるときは、水ではなく氷などを包んでもいいですが、やさしく当てるように注意です。
だいたい10分~15分くらい冷やしますが、身体の熱がとれるまで冷やすようにしてください。
日焼けしてしまった当日は、数時間おきにこまめに冷やすようにしましょう。
注意:長時間冷やしすぎない
日焼けをしたら、確かに早めに冷やすことは大切なのですが、長く水風呂などに浸かり過ぎると身体が冷えすぎてしまうことがあります。
保冷剤を使用する場合も、ダイレクトにずっと特定の箇所に当てていると、冷やしすぎてしまうことがありますので、肌の再生力の低下を招くこともあります。
保冷剤や氷を使用する際はタオルなどで包むようにし、あまり長時間は当てすぎないようにしましょう。
日焼けは24時間進行し続ける
日焼けで水ぶくれができた場合は、炎症が24時間進行し続けると言われています。
日焼けをしてから、初めにきちんと冷やしたかどうかが24時間後に大きく影響してくるので、きちんと冷やすようにし、温かいお湯は避けるようにします。
日に焼けてヒリヒリとしている時に、安易に熱いシャワーを浴びたりすると、水ぶくれが増えたり発生する原因となったりしますので、日焼け後の肌は十分にいたわることが大切です。
水ぶくれはもともと、損傷を受けた時に傷口をふさぐために分泌される水分が、皮膚の内側に溜まったものです。
血清やフィブリンといった血液中の成分でできており、熱いお湯などで刺激を与えると水ぶくれが増える原因となるのです。
水ぶくれに効く薬
基本的に、水ぶくれができるレベルで日焼けしてしまっている場合は、冷やした後にできるだけ早めに皮膚科で診察を受けてください。
水ぶくれはただの日焼けとは違って、相当のレベルで日焼けが進行しているのです。
ただ、もしすぐに病院に行けない場合や、水ぶくれが少ない場合は、ワセリンを塗ると良いでしょう。
ワセリンには種類があり、黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト、サンホワイトの4種類があります。
黄色ワセリン以外であれば、基本的に日焼けには有効とされています。
しかし、水ぶくれが出ているときは肌が繊細になっているので、最も精製されていて安全性が高いサンホワイトを使うと良いでしょう。
なお、ワセリンについての詳しい説明はこちらの項目で触れています。
ワセリンを塗る前の保湿についてですが、直接肌に触れずに済むスプレータイプの保湿剤がおすすめです。
しかし、化膿すると痕が残る原因となってしまいます。
適切な処置を受けることで痕が残らず済むので、できるなら早めに病院に行ってくださいね。
日焼け後の入浴について
日焼けをしてしまった後、お湯によって皮膚を温めると、炎症がひどくなる原因になってしまうことがあります。
お風呂に入るときは冷た目の水かぬるま湯に入るようにし、日焼け部分を刺激しないよう注意です。
身体を洗うときは刺激の少ない石けんを使うか、水洗いだけにするといいでしょう。
タオルなどでゴシゴシと洗うのではなく、手でなでるように洗います。
また、身体の水分をバスタオルで拭き取るときにも、水ぶくれを刺激しないように気をつけます。
あまり擦らないように、ポン、ポン、と軽くそっと押し当てるように拭き取るといいでしょう。
水ぶくれができている状態は、日焼けが大分進行していますので、処置をしたらできるだけ早めに皮膚科専門医を受診してください。
水ぶくれはつぶさないほうがいい
病院での処置として水ぶくれを潰すことはあります。
しかし、知識がない一般人が自己判断で水ぶくれを潰すのはやめましょう。
正しい治療法をわかっていないのに安易に水ぶくれを潰すと、その箇所から細菌が入り込んで感染症の原因になることもあります。
意図的ではなく、思わず潰れてしまった場合は仕方ありませんが、過剰に潰すようなことは控えてください。
もしつぶれてしまったらあまり触らないようにします。
水ぶくれの中に入っている水には、日焼けした患部を修復するための成分が入っています。
無理やり取り除こうとしたり、乾かそうとすると余計に修復へ時間がかかってしまうので、潰さずにそっとしておくのが一番なのです。
水ぶくれをつぶしてしまった場合
水ぶくれを潰してしまった場合は、まずは流水で綺麗に洗い流してください。
その後、清潔なタオルで水分を優しく拭きとったあと、白ワセリンをラップにつけて、潰れてしまった箇所を覆うように保護します。
こうすると、水ぶくれが破けてしまった箇所から出てくる液体を維持させることができるので、痛みが軽くなったり痕が残りにくくしたりすることができるのです。
<手順>
- 水ぶくれが潰れた箇所を流水で綺麗に洗い流す
- 白ワセリンをラップに塗り、患部を覆うように当てる
- 治るまで毎日ラップは取り換え、このときに患部の周辺を水で洗い、清潔にする。
「モイストヒーリング」と呼ばれるこの方法は、傷口から出る液体に含まれる、傷の治りを早める成分を利用して治癒を早める方法です。
きれいに治るのも特徴です。ただ、患部が湿気を帯びた環境となるので、細菌の繁殖には十分注意しなければいけません。
清潔にするため、ラップを取り替える際にはきちんと患部を洗い流してください。
なお、感染していると思われる場所(膿があったり、赤くなっていたり、腫れていたりなど)には行わず、この場合はすぐ病院に行きましょう。
水ぶくれが治るまでどのくらいかかる?
日焼けによって起こった水ぶくれは、軽度の場合は2~3日で治りますが、完治には2~3週間ほどかかると言われています。
だいたい10日~2週間くらいで水ぶくれの下に新しい皮膚が出来上がってきますので、この期間の間はきちんと処置をするようにしましょう。
日焼け後、正しい対処をしても熱の部分がジンジンとする場合は、タオルを巻いた保冷剤などを当てて冷やし、ガーゼなどで患部を守るといいですね。
水ぶくれがあるときのNG行為
日焼けをした後の肌は非常に繊細になっているので、とくに水ぶくれが出ているような酷い日焼けの時にアロエなどを塗るのはやめましょう。
きゅうりパックやレモンパックなどもありますが、かんきつ類やきゅうりには、ソラレンと呼ばれる紫外線を吸収しやすくする成分が含まれています。
ソラレンが含まれる食品をパックに使ったりすると、日焼けがしやすくなって余計肌を傷つけやすくなってしまうので、避けたほうがいいのです。
配合成分がたくさん書いているような保湿剤や化粧水も、安易に使うと日焼けした肌に刺激となってしまうこともあります。
これらは炎症が収まってから使うようにし、水ぶくれがあるうちはワセリンをお勧めします。
また、皮膚の生まれ変わりが上手くいかなければ、日焼けの症状も治りませんので偏食や睡眠不足など、不摂生は禁物です。
早めに眠ることと、バランスの良い食事をするように気をつけることも大切です。
UV-Bは日傘でもある程度防げる
UV-Bは波長が短い紫外線ですが、エネルギーが強く皮膚がんの原因となったりします。
しかし普段であればきちんと日傘や薄手の長袖を着るなどの予防をすることで、ある程度肌を守ることが出来ます。
うっかりとした黒くなる日焼けはUV-A(紫外線A波)の影響で、皮膚の深くまで入り込んで、コラーゲンの形を変えてジワジワとシワやたるみの原因となったりします。
たとえ短い外出でも日焼け止めや帽子を被るなどの対策が必要となります。
なお、UV-Bなどの紫外線の種類については、日焼けのかゆみについての記事でも触れています。
日焼けの水ぶくれまとめ
日焼けは火傷と同じなので、水ぶくれにまで進行してしまっているなら、できるだけお医者さんに薬を処方してもらうのが一番です。
水ぶくれの範囲が小さいならワセリンなどで処置をしてもいいですが、病院に早めに行った方が安心できるでしょう。
ブログ内では、他にも日焼けに関する記事をまとめているので、お悩みならご覧くださいね。
夏はプールや海水浴など、昼間に長く外にいるイベントが満載なので、日焼けも悩みのひとつですよね。
できれば、酷くならないうちにあらかじめ紫外線対策をしっかり行っておくのが一番だと思います。
夏に外出するときは、日焼け止めや長袖、帽子などを用意するようにしましょう。