「お歳暮」というのはその文字が示すとおり、「年(歳)の暮れ」に贈り物をする行事のことを指します。
お歳暮が生まれた由来というのは、昔、元旦に先祖の霊をお迎えするために必要な贈り物やお供え物を、嫁いだり分家した人が親元などに持ち寄ったのが始まりとされています。
次第に一年間お世話になった人に贈り物をする風習へと変化し、現在でも根付いています。
お歳暮にお贈りする品は、かつては新しい年を迎える際に必要となる物を贈るのが普通で、数の子やもちなどの食品が多かったのだそうです。
しかし現在では品物に厳密な決まりはなく、生活必需品やドリンク類といった幅広い品が贈られます。
今回はこういった贈り物をする行事「お歳暮」の時期についてまとめていきます。
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お歳暮を贈る時期はいつからいつまで?
かつては事始め(正月事始め)という、正月を迎えるために煤払い(年神様を迎えるために家の清掃をする風習)などの準備をするのが12月13日からでした。
なのでお歳暮もこれに合わせて12月13日~12月20日に相手の手元に届くように贈るのが一般的だったようです。
ただ、現在ではこの風習があまり普及していないため、12月初旬や11月末頃から贈ることも多くあります。
12月25日以降になってしまうと、相手方のお正月の準備が忙しい時期に突入してしまいますので、できるだけ12月20日くらいには相手の手元に届くようにしましょう。
場所ごとのお歳暮を贈る時期の違い
- 関東:12月初旬~12月20日
- 北海道・東北・東海・関西・中国・四国・九州:12月13日~12月20日
- 沖縄:12月初旬~12月25日頃
年末の忙しい時期を避けるためなどの理由で、現在ではこの時期より多少前倒しになっている傾向があります。
12月の初旬ごろから相手に届くように贈ってもいいでしょう。
お歳暮を贈るときに守るべきマナー8つ
1、贈るべき相手はお世話になっている人・これからもお世話になる人
お歳暮を贈る際のマナーとして注意したいのが、贈る相手はこれからもお世話になるというのがわかっている人であることです。
なぜならお歳暮は一時的に(一回だけ)贈るようなものではなく、継続的に「これからもお世話になります」という、日頃の感謝とともに贈るものだからです。
なので基本的には毎年贈るものとなりますので、これからも贈り続けられる相手(付き合いが深い方)に贈るようにしましょう。
例としては先生や会社の上司、両親、義父母などが一般的です。
※その年だけ一時的にお世話になった人には、お歳暮ではなく「御礼」として贈答品をお送りしましょう。
2、お歳暮の金額は世話になった度合いで決める
お歳暮ひとつに使う金額は、一般的に3000円~5000円ほどと言われています。
ただお歳暮は普段の感謝を表すための贈り物なので、特別にお世話になった人に対しては10000円ほどの品物を贈ることもあるようです。
相場としては、友人や親戚といった相手には3000円くらい、会社の上司など目上の人や離れている両親には5000円くらいが多いようです。
※あまり高価なものを贈ると相手に気遣わせてしまいます。
自分においても翌年贈るとき、予算的にも負担になりますので、相手との関係性に見合った金額で贈るようにしましょう。
3、のし紙のマナー
のし紙は水引が紅白5本の蝶結び(花結び)を使用します。
表書きは水引蝶結びの上段に「御歳暮」と書き、下段にはやや小さめに「自分の名前」を書きます。
誰からもらったのかわかりやすいよう、名前はフルネームが一般的です。
※喪中の場合は、お歳暮ののし紙のマナーが変わります。
4、年の瀬の忙しい時期には渡さない(ただ、お正月用の生鮮食品は年末に贈っても良い)
年末の忙しい時期にお歳暮を届けると相手にも迷惑になりやすく、長期不在である可能性もあります。
なので年内に贈るお歳暮は遅くなっても12月25日くらいまでには届けるようにしましょう。
ただ、数の子などのお正月用生鮮食品は早めに贈ってしまうと元旦が来る前に悪くなってしまうので、12月26日~31日の間に贈っても構いません。
その場合は相手にあらかじめ了承を取るようにするとグッドです。
5、お歳暮の時期が過ぎてしまったら「御年賀」か「寒中御見舞い」で
お歳暮は年の暮れに贈るものなので、さすがに12月31日を過ぎてしまっては「御歳暮」として渡すことはできません。
なのでお歳暮を届けるのが年内に間に合わなかったら、「御年賀」または「寒中御見舞い」として贈るようにしましょう。
年が明けてしまったら、元旦(1月1日)から松の内(1月7日まで、関西では15日まで)は「御年賀」として、
松の内を過ぎてしまった場合は1月8日から2月3日(立春の前の日まで)までは「寒中御見舞」とのし書きを変えて贈ることが出来ます。
※喪中の場合は「賀(祝うという意味)」が使えないので、松の内には贈らず寒中御見舞いでお渡しします。
6、お歳暮は喪中の相手に贈っても良い(ただし注意点あり)
お歳暮は、「日頃の感謝を込めて普段からお世話になっている相手に品物をお贈りする」という行事なので、自分が喪中でも、相手が喪中でも、どちらが贈っても大丈夫です。
ただし、四十九日を過ぎていない場合(忌中といいます)は、まだ不幸から日が経っておらず、気持ちが落ち着かない時期なのでお歳暮を贈るのは控えましょう。
また、お歳暮ののし紙は水引が紅白であると慶事に使用されるものなので、喪中の場合は「無地ののし紙(奉書紙)」または「無地の短冊」を使用し、表書きに「お歳暮」と記入します。
喪中で年内のお歳暮の時期に品物を贈れなかった場合は、年明けの松の内を過ぎてから「寒中御見舞」でお渡ししましょう。
※品物にお手紙を添える場合は、おめでたい言葉は避けるようにしましょう。
7、相手の好き嫌い・家族の人数に気をつけること
たとえばアルコールを好まない人に対してビールなどを贈ってしまったり、家族の人数が少ないのに期限の短い生鮮食品を多く贈ってしまうと、かなり相手が困ってしまいます。
生鮮食品があまり多いと冷蔵庫のスペースなどに困ったりするかもしれません。
逆に足りなさすぎてもいけませんし、人数がわからない場合は仕方がないですが、できるだけ過不足なく贈れるよう相手に配慮できるといいでしょう。
日持ちがするドリンク類などはたくさんあっても迷惑にはなりにくいので、人数が不明なら生ものは避け、期限が長いものを選ぶのがいいですね。
好みがわからないときは生活必需品を贈るのもおすすめです。
また、相手がグルメであれば美味しいものを贈ると喜んでくれますし、美容や健康に気をつけている相手であれば体にいいフルーツなどは喜んでくれるでしょう。
8、相手にきちんと受け取ってもらえるように送ること(発送の場合)
お歳暮を配送で相手に届ける時、万が一不在だった場合は、再配達で受け取ったとき賞味期限切れになっている可能性があります。
長い期間、相手が家にいないこともありえますので、贈る前に事情を確認しておくか、またはお歳暮を届ける時期を連絡しておくのもひとつの手段です。
とくに肉類や魚介類などのナマモノは期限が短いので、確実にすぐ手元に届けられるとわからない場合は生鮮食品を選ばないという選択肢もあります。
お歳暮はどんな品物を贈ればいい?
定番でよくお歳暮に贈られる品物は以下のようなものがあります。
- アルコール飲料(ビール、ウイスキーなど)
- 缶詰ギフト
- ハム・ソーセージ
- スイーツ(アイスクリーム、せんべいなど。洋菓子・和菓子)
- 生鮮食品(牛肉、カニ、数の子、いくら、フルーツなど)
- ジュース
- コーヒー
- 生活必需品(石鹸、洗剤、タオルなど)
- 調味料
- 加工食品(ドライフルーツ、スモークサーモン、ジャムなど)
お歳暮の贈り物といっても実に様々です。
保存の効くものがゆっくりと使えるので基本おすすめですが、カニなどの鍋に使える生鮮食品は年末年始に活躍し、ハムやソーセージは子供にも好まれます。
スイーツにも洋菓子、和菓子の種類があり、石けんや洗剤、タオルにもオーガニックのものがあったりなど、選ぶ幅は様々あります。
いちばん大切なのは、「どんな品物を贈れば相手が喜んでくれるだろうか?」と考えることなので、相手の好みや環境などを考慮して選ぶのが良いでしょう。
近頃では相手に品物を選んでもらえるカタログギフトもありますので、こちらを活用してみてもいいのではと思います。
お歳暮の購入場所
お歳暮は百貨店やデパート、ショッピングセンター、スーパーマーケットなど店頭で購入することが定番です。
ただ店舗に赴かなくても、近頃はインターネットでもお歳暮の注文をすることができます。
楽天はもちろん、三越やイオン、高島屋や東急百貨店などといったたくさんのお店がネットショップで注文を受け付けています。
インターネットだと店頭ではなかなか見つからないような品物がゆっくりと選べる他、いつでも自分の好きな時間に注文することができるので、時間がとれないときにもおすすめの方法となっています。
店頭ではだいたい11月の初旬くらいから、インターネットだと少し早く10月中旬からお歳暮の受付が開始するようです。
渡す方法は?
本当なら風呂敷に包んで相手に直接持参するのがマナーですが、現在ではデパート等から配送してもらうことも多いです。
配送で送る場合は品物が到着する前に、挨拶状を送るか電話で送ったことを伝えると丁寧でしょう。
(とくに生ものの場合は、旅行などで相手が不在であるのを避けるため、事前に連絡するのがマナーです。)
お歳暮の時期まとめ
お歳暮は日頃の感謝を伝えるために行われる行事ですので、いつもお世話になっている人に気持ちをこめて贈るようにしましょう。
手元に届けるのに適した時期は、12月の初めから12月20日(年末の忙しい時期に入る前)までに、品物は相手が喜んでくれるものを選ぶのがポイントです。
お歳暮が遅れてしまい、喪中などで松の内に渡せなかった場合は寒中見舞いとして贈りましょう。
寒中見舞いについては以下の記事が役立つと思いますので、参考になりそうなら見ていってくださいね。
また、年末年始においての大きな行事として年賀状があります。
年賀状の元旦に届く時期や遅れてしまった場合の対処法についてはこちらをご覧ください。↓