インフルエンザにかかってしまったら、まずは体力を消耗しないよう安静にし、充分に休息をとる必要があります。
その際は病院に行く必要がありますが、お医者さんから処方される薬は種類がいくつかあります。
こうして頂ける薬は、予防薬としても使うことができます。
今回はインフルエンザに使われる薬の種類についてまとめていきます。
【インフルエンザの記事はこちらです】
記事内容(項目をクリックすると飛べます)
インフルエンザの薬(抗インフルエンザ薬)の種類は?
- イナビル
- リレンザ
- タミフル
- ラピアクタ
インフルエンザに使われる薬は他にもありますが、主な種類はこの4つです。
それぞれ吸入薬や内服薬、点滴薬といった風に、使い方や持ち合わせている特徴が違いますので、ひとつずつ見てみましょう。
1、イナビル
イナビルの特徴
一般的な薬は、水といっしょに口から飲む錠剤や粉薬が多いですが、イナビルはいわゆる「吸入タイプ」のお薬です。
イナビルの特徴的な部分は、吸引がたった1回だけでインフルエンザ治療に効果があるという点です。
たとえば同じ抗インフルエンザ吸引薬のリレンザは5日間毎日使い続けなければいけませんが、イナビルは最初に1回吸入すれば5日くらい効果が続きます。
なので吸引をし忘れたり、手間がかからないという特徴があります。
ただこのイナビルの「1回で済む」というのはデメリットにもなり、その1回の吸引が上手く行かなかった場合は、もう一度やり直すというのが難しくなります。
※イナビルは処方された薬局で吸入してもらえることもあります。
自宅で吸うのが不安な場合は薬剤師さんに相談してみましょう。
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イナビルの効果
イナビルはインフルエンザA型とB型両方に効果があり、ウイルスが繁殖するのを抑えて症状が悪くなるのを防いでくれます。
解熱作用が高いと言われており、タミフルが熱を下げるのに3~5日かかるのに比べて、イナビルは2~4日で体温を正常にできると言われます。(個人差はあります)
インフルエンザ予防薬としての効果もありますが、成人や10歳以上に限られています。
イナビルの使い方
イナビルはウイルスの増殖を抑えるので、インフルエンザの症状が出てから48時間以内(インフルエンザウイルスは約48時間で増殖し切るため)に吸入します。
こちらの動画は実際の薬剤師さんがイナビルの使い方(吸い込み方)を紹介しています。↓
、動画を参考にしてみてください。 実際に家で吸入するときは、処方されたお医者さんや薬剤師さんに説明をよく聞いてから
イナビルの一度に使う量・回数
インフルエンザにかかった場合の治療薬としての量は、10歳以上(成人含む)はイナビルを2本、10歳未満の子どもは1本を一回だけ吸入します。
予防薬として利用する場合は成人(10歳以上)で1日1回1本、これを2日間連続で行えば10日間の予防効果があると言われています。
イナビルはパウダー状の薬なので、きちんと吸えているか分からないと感じることがあります。
量の注意点としては、半分くらい吸い込むことができていれば効果は十分とも言われているので、落ち着いて吸うようにしてみてください。
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イナビルの副作用
イナビルは副作用が少ない薬と言われています。
イナビルは2010年に発売されましたが、発売後にされた調査では2010年11月~2011年4月のシーズンで1.4%に副作用が見られました。
主に見られた副作用は、下痢やめまい、悪心などといったものだそうです。
そこまで副作用の頻度が多い薬ではないようですが、抗インフルエンザ薬において脳症になる可能性(特に子ども)は0%と言い切れません。
また、タミフルと同じように異常行動が引き起こされる可能性が、100%否定出来ないことも事実です。
イナビルを吸入したあとは、完治するまで患者を見守るようにするのが大切です。
2、リレンザ
リレンザの特徴
リレンザはイナビルと同じように「吸入タイプ」の薬です。
インフルエンザのウイルスは気道などの粘膜で増殖するので、粉末になった薬を吸い込んで使用する吸入薬は粘膜に直接薬を届けることが出来ます。
すると高い効果と即効性を期待することができるというメリットがあります。
粒状の薬のように全身に影響しないので、副作用や脳症などが起こるリスクも少なく済むというのも特徴です。
タミフルの異常行動が知られてからというもの、リレンザを使用する場合も増えてきているようです。
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リレンザの効果
リレンザもイナビル同様、A型・B型両方のインフルエンザウイルスに効果があります。
また、タミフルには耐性を持ったウイルスが発見されている一方で、リレンザには今のところ耐性のあるウイルスが発見されていません。
なのでタミフルが効かないインフルエンザウイルスに対しても効果的という利点があります。
イナビル同様、リレンザも予防薬として使用することが出来ます。
リレンザの使い方
リレンザもイナビルと同じように48時間以内、できるだけ早めに使用することで症状を抑えてくれる効果があります。
リレンザは吸入さえ正確にできれば何歳からでも使用でき、年齢制限はありません。
しかし、リレンザはパウダー状の薬を吸入するタイプなので、5歳未満の小さい子供は吸入が上手く出来ないことが結構見られるようです。
なのでリレンザは5歳以上から使うことがすすめられているようです。
吸入型は乳幼児はもちろんお年寄りが使用すると咳き込んでしまう事がありますので、使用するかどうかはお医者さんとよく相談しましょう。
こちらはリレンザの吸入の仕方を紹介した動画です。(環境再生保全機構の公式チャンネル)
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リレンザの量・回数
リレンザはインフルエンザに感染して、発症後の治療用に使う場合は、成人、5歳以上の子どもであれば、どちらでも1日2回5mgブリスター2個分を使います。
服用は朝と夜で12時間ほど間隔を開け、これを5日間続けるようにします。
予防薬としてリレンザを服用する場合、成人または5歳以上の子どもで1日1回5mgブリスター2個分を10日間使用すると予防効果を得ることが出来ます。
リレンザはイナビルと違って、治療では5日間にかけて毎日使用する必要がありますので、忘れないように服用を続けてください。
リレンザを服用して5日経たなくても症状がよくなる場合があります。
しかしこの状態ではウイルスがまだ体内に残っていることがありますので、5日間は必ずリレンザを服用するようにしてください。
リレンザの副作用
リレンザは一般的に安全な薬だと言われており、副作用があっても軽度であることが多いです。
症状としては下痢や悪心、嘔吐、発疹などが現れることがあるようですが、これらが副作用として起こるのは0.1~1%ほどの確率だそうです。
ただ抗インフルエンザ薬は、リレンザに限らずどの薬でも脳症を発症する可能性があると言われています。
インフルエンザによるものなのか、薬が原因なのかは現在では未だにわかっていないそうですが、抗インフルエンザ薬を使用した場合、特に小さな子どもは常に見守るように注意しましょう。
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3、タミフル
タミフルの特徴
タミフルは最も一般的なインフルエンザ治療薬として普及していましたが、副作用だと思われる異常行動が報道されたことがあります。
これはタミフル自体が引き起こしたのか、インフルエンザウイルスが原因なのかは不明です。
しかし異常行動を起こすのが10代に多いことから、この年齢の未成年に対してはタミフルの服用を制限し、タミフル以外の抗インフルエンザ薬を使用することが多くなっています。
タミフルはイナビルやリレンザとは違って吸入ではなく、口から水で飲む錠剤タイプの内服薬として使用します。
タミフルの効果
タミフルはA型、B型両方のインフルエンザウイルスに効果があり、体内でウイルスが増えないようにして症状の悪化を抑えてくれます。
ただ2008年に流行したAソ連型には効かなかったという話があるので、こうした耐性があるウイルスにはリレンザが使われているようです。
また、タミフルはB型インフルエンザには少し効き目が悪いと言われています。
効果がないということではありませんが、A型には平均して27時間で解熱する所を、B型には44時間もかかってしまうのだそうです。
タミフルはこれまでの抗インフルエンザ薬と同様、予防薬としての使用も可能です。
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タミフルの使い方
タミフルはインフルエンザ治療として使用する場合、これまでの抗インフルエンザ薬と同じように発症後48時間以内に服用します。
インフルエンザの症状を抑えて、期間を短くする効果が期待できます。
タミフルは成人・子どもといった年齢を問わず1歳からなら使用することが出来ますが、異常行動の件から10代へのタミフル処方は制限されています。
※10歳未満の子どもの場合は、タミフルが処方されることがあります。
タミフルの量・回数
インフルエンザの症状が出て治療薬として使う場合は、大人・子供どちらでも、一般的にタミフルは1日2回、これを5日間毎日服用します。
予防薬として使用する場合も大人子供を問わず、タミフルを1日1回だけ飲み、10日間服用します。
※タミフルには通常のカプセルタイプと、主に幼小児に使われるドライシロップタイプがあります。量については処方されたお医者さんの指示をよく聞きましょう。
タミフルの副作用…異常行動は10代に多い
タミフルはあまり副作用の発生頻度は多くありませんが、症状としては腹痛が6.8%、下痢が5.5%、嘔気が3.9%と消化器症状が主にみられることがあります。
タミフルによる異常行動の問題については、年代で分けると19歳未満で81.1%を占め、10~19歳が53.1%という結果になっています。
10代の異常行動によって亡くなったのは5人にも及び、この結果10代にはタミフルの使用を控えることになりました。
異常行動とタミフルとの関連性は未だ不明だそうです。
しかし吸入薬のリレンザなどの薬とは違い、タミフルは血液を通り全身を巡りますので、吸入型に比べて予想だにしない副作用が引き起こされるのでは、とも言われています。
たとえ10代でなくとも、タミフルを使用する際はインフルエンザが治るまで充分様子を見ておくことが重要となります。
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4、ラピアクタ
ラピアクタの特徴
ラピアクタは点滴薬として病院で使用されます。
特徴としては15分くらいの投与が1回のみでタミフル約5日分の効果があると言われているので、インフルエンザの症状が軽ければたった一度だけで済みます。
リレンザやタミフルなどと違ってラピアクタは基本的に病院で投与されます。
医療機関でなければ投与が出来ないことが難点ではありますが、身体の調子が悪くて吸入薬が使用できなかったり、内服薬が飲めなくても注射を打つだけでいいという利点があります。
ラピアクタの効果
ラピアクタはA型・B型両方のインフルエンザウイルスに効果があり、この点はイナビル、リレンザ、タミフルと同じです。
ラピアクタは即効性に優れており、リレンザやタミフルと比べれば解熱効果が早いと言われ、他の症状であっても点滴薬のラピアクタの方が良くなるのが早いと言われています。
子供にも使えるとされていますが、まだデータが少ないため、特別何らかの理由がない限り子供に使用することは少ないようです。
また、1回だけで済むので、タミフルなどのように飲み忘れがないという利点があります。
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ラピアクタの使い方(病院での投与が必要)
ラピアクタは点滴なので、病院においてお医者さんの判断で使用するかどうかが決定されます。
タミフルやリレンザなどの口からの投薬が困難な場合にも、点滴なので注射を打てば問題なく治療をすることができます。
ラピアクタも他の抗インフルエンザ薬と同じように、インフルエンザウイルスの増殖を抑えて症状が悪くなるのを防ぐので、インフルエンザの症状が出てから48時間以内に使用する必要があります。
ラピアクタの量・回数
病院でラピアクタの点滴を受ける際は、成人には15分以上をかけて、通常300mgを投与します。
症状が重い場合や重症化する恐れがある場合は600mgを使用し、その後は症状に応じて翌日も点滴することがあります。
子供の場合は、体重1キロにつき10mgの量を15分以上かけて投与し、症状によっては増量されますが、上限は一度につき600mgと決まっています。
子供でも症状によっては翌日も点滴することがあります。
ラピアクタの副作用
ラピアクタの副作用は、成人・子供両方で大半は下痢が多いと言われます。
子供の場合、下痢が10%、嘔吐が5%の割合で見られます。
また、注意点としては、ラピアクタは投与すると排出されるのは腎臓なので、腎臓に障害がある場合、薬の効果が強く出すぎる危険性があるので注意が必要です。(腎臓病がある場合、お医者さんに事前に伝えてください。)
他にもタミフルなどと同じように、ラピアクタが投与されることによって脳症を引き起こす可能性はないとは言い切れません。
投与の際はインフルエンザが完治するまで、充分に患者を見守る必要があります。
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抗インフルエンザ薬は予防投与ができる
ここまでご紹介した抗インフルエンザ薬は、ラピアクタ以外(ラピアクタは点滴薬なので個人では使用できません)なら予防薬として使用することが出来ます。
あらかじめ服用しておくことでインフルエンザにかかりにくくなったり、症状を軽くしたりすることができます。
ただ病気になっているわけではないので、健康保険は利用できず、自費になります。
予防薬の値段は?
予防薬の値段は薬局によっても変わってくるようです。
調べた所では薬自体の値段や手数料などを加えて、だいたいイナビルが5000円くらい、タミフルが4000円くらい、リレンザが4400円くらいとなるようです。
これは目安なので、ぴっちりとした金額は薬局で確認してみてくださいね。
(病院で診察を受けた場合は、別で診察料もかかります。)
インフルエンザに効く市販薬はあるの?
インフルエンザの場合は、すぐにインフルエンザを治す市販薬というのはないようです。
そもそも病院で処方される抗インフルエンザ薬は、インフルエンザの症状が現れてから48時間以内に使用することで、ウイルスが増えるのを防いで症状が悪化するのを抑える薬です。
インフルエンザウイルスは約48時間で繁殖し切るので、この時間を過ぎてしまえばリレンザやタミフルといった薬はあまり効果がないものとなってしまいます。
(その後は対症療法といった治療法になります。)
病院に行くほどの症状でなければ、自宅でも市販薬を使えば少しは緩和させることができるようです。
(ただ、できるだけ病院で治療を受けることをおすすめします。)
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市販薬には使用していいものとダメなものがある
市販薬の中には、成分によって脳症を引き起こすリスクを持つものがあります。
ここでは使用していい薬とダメなお薬を紹介していきますが、自分で市販薬を選ぶよりも、できればお医者さんに症状を伝え、適切な薬を処方してもらうことのほうが安全と言えます。
なお、インフルエンザによって引き起こされた高熱の場合、発熱はウイルスを退治している最中なのでできるだけ解熱剤は使わないほうがいいと言えます。
ただ、症状が辛くて寝付けなかったりする場合は解熱剤を使用したほうがいいでしょう。
インフルエンザの時に飲んではいけない市販薬
- ジクロフェナクナトリウム
- アスピリン(アセチルサリチル酸)
- メフェナム酸
これらはインフルエンザ脳症にかかる危険性(とくに小さい子供)があるので、使用しないようにしましょう。
これらが入っている市販薬は
- バファリンA
- ボルタレン
- ポンタール
- アスピリン
- ケロリン
- バイエルアスピリン など
といったものがあります。選ぶときは、成分をよく見てから購入するようにしてください。
インフルエンザの時に飲んでも良い市販薬
- アセトアミノフェン系
- イブプロフェン系
- ロキソプロフェン系
これらの成分であればインフルエンザの時でも、飲んでも大丈夫と言われます。
具体的に市販薬の名前をあげると、
- アセトアミノフェン系:パブロン、カロナール、ルル など
- イブプロフェン系:ベンザブロックL錠、イブ など
- ロキソプロフェン系:ロキソニンS など
※ロキソニンは解熱効果が高いので、使用しないほうがいいとの話もあります。
薬を選ぶ際は、必ず薬剤師さんなどに相談してから使用するようにしてください。
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インフルエンザの薬まとめ
インフルエンザにかかってしまったら、病院できちんと診察を受け薬をもらってください。
とくにA型のインフルエンザは症状が重く、毎年流行するので、発症してしまったら適切な処置が必要となります。
インフルエンザのA型・B型それぞれの特徴についてはこちらの記事をどうぞ。
また、普段からインフルエンザにかからないよう、免疫力を強化して予防することも有効です。
潜伏期間については、以下をご覧下さいね。
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